スポーツ賭博という言葉を聞くとトゥクソムにあった競馬場が思い出されます。以前、漢江沿いに競馬場があったのですが、今では果川（クァチョン）に移されました。その収益金により、果川は韓国の地方都市の中で最も裕福な都市だそうです。

トゥクソムに競馬場があった頃、競馬が好きな友達について、一度行ったことがあります。そういえば、その時が初めてで最後の競馬場でした。ビギナーズラックだったのか、大金ではありませんが、お金が少し返ってきました。

とにかく最後のレースを見て競馬場を出てきたときが、非常に印象的でした。競馬場の前に、韓国にいるペテン師が全員集まったのではないかという光景が繰り広げられていました。数字が描かれた円板を回したり、自分が決めた数字を当てたり、ゲンゴロウレース、ハムスターレース、囲碁、将棋、カード合わせなど、生まれて初めて見る賭博もたくさんありました。

競馬場から出てきた人が好奇心半分、遊び半分でペテン師たちが開いた賭博場を覗き見てはたまにお金を賭けます。競馬場でお金を獲得した人は暇つぶしに少しくらい失っても構わないからと賭け、競馬でお金を失った人はここで元を取り戻そうという考えがあるのでしょう。結局はポケットに残っていた小銭さえ失って帰路につくことになることでしょう。

ギャンブルにはまると、カジノであろうが、プライベート賭博であろうが、家庭は壊れて、自分の身も亡ぶ道しかありません。韓国のことわざに、男は「3つの先」に注意しなくてはいけないという言葉があります。その内のひとつが指先です。

賭博場を出入りしながら、家財を全て使い果たすようなことはするなというアドバイスです。指先とはギャンブルを指す言葉です。

これは、スポーツ賭博も同様です。有名なスターが退屈なあまりギャンブルに手を出してしまい、本人はもちろん、仲間にも被害を与えた事例が少なくありません。

2013年は芸能人の不法賭博で非常に騒がしくなりました。その年の3月にスター級のタレントだったキム・ヨンマンが違法スポーツ賭博に手を染めて、捜査を受けているという言葉がマスコミで出回り始めました。そのときには単純にキム・ヨンマンの私生活として静かに収まるかと思われていたのですが、11月に入ってからは、違法賭博に関与したという芸能人の名前が次々と挙がり始めました。

キム・ヨンマンを捜査する過程で、運営者とブローカーが明らかになり、彼らを介してギャンブルをしていた芸能人も明らかになったのです。

（※この記事は「韓国で社会的に物議をかもしたスポーツ賭博や八百長事件について教えてください。（2）」へ続きます。）