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  • Q.
    韓国はなぜ最初からTPPに参加しなかったのか?
  • A.
    難しい問題ですね。世界最大のメガFTAといわれるTPP交渉が妥結したというニュースが伝えられた後、ある人は韓国がなぜ外されたのかと、登録が拒絶されたかのように思って驚いていました。

    もちろん、経済を少しでも知っているなら、このような質問はしないでしょう。彼が経済の経の字も知らない人なのかというと、そうでもありません。それなりの大企業で中役まで務めた人です。当然、最初から協定に参加すべきだったのではないかと反問したのです。

    そうです。多くの人々が中国の顔色をうかがって、メガFTA戦略で韓国が一歩遅れたのではないかと心配しています。

    ある経済新聞は、韓国政府の通商政策を露骨に非難しました。記事の内容を一部ご紹介しましょう。

    「TPP妥結のニュースが伝えられた日、韓国政府はFTA(自由貿易協定)の最高の優等生から、『多国間の経済統合時代へ遅刻した生徒』という劇的な立場の墜落を受け入れなければならなかった。個々のFTAの戦利品を得るために、グローバルな通商環境の中核軸が二国間FTAから多国間FTAへと移っていく流れを逃したのだ。」

    時代の流れを読めなったと話しているのですから、通商政策を担当する政府関係者には、あまりにも痛い指摘ですね。記事はメガFTAの流れを逃した主な原因を朴槿恵(パク・クネ)政府が前任 の李明博(イ・ミョンバク)政府の通商政策を受け継いで、二国間FTAを通じて地域統合のハブになるという通商政策のロードマップを採択したことから始まったと解釈しています。

    実際に、韓国政府が過度に個々の国とFTA協定を結ぶことに気をとられてはいました。韓国がFTAを締結したり、交渉中の国だけでも60カ国に迫るほどです。韓国政府の優先政策が、二国間のFTAだったため、多国間協定に注ぐ力が弱かったと見ることもできます。

    もちろん、通商当局は怒っています。記事が出た直後、すぐに反論材料を出しました。現政府の通商政策のロードマップ(Map)は、TPPやRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を含んでいるという説明でした。

    しかし、一歩遅れてTPPの参加を検討するという政府の発表を見ると、政府の反論にはあまり説得力がありません。

    TPP参加に韓国政府が消極的な態度を見せたのは、前任の李明博政権時代にまでさかのぼります。実質的な効果があまりないと判断したためか、後で参加しても遅くないと見てか、とにかく、その当時の雰囲気では参加に懐疑的でした。

    実際に韓国のTPPへの参加効果は今でも議論の余地があります。これは、元来のTPPの構想から検討してみる必要があります。
    TPPは2005年、ニュージーランドとチリ、シンガポール、ブルネイの4カ国間のP4協定から出発しました。中国が主導するRCEPを牽制するために、米国がオーストラリア、ペルーと一緒に電撃的に参加を宣言しながら、規模がすごく大きくなりました。日本も2013年になって、遅れてTPPに一歩踏み入れています。韓国もその時が協定に参加する機会だったのかもしれません。

    • < TPP加入12カ国(出典=米国通商代表部)>

    なぜそうしなかったのかというと、前述したように、韓国は個々の国とFTAを非常に多く締結した状態だったからです。TPP協定に加入した12カ国のうち、ほとんどといえる10カ国とFTA協定を結んでいるのです。このような状態で、あえて重複して協定に参加する理由があるかというと​、むしろ面倒で、毒にもなりえるという懸念があったのです。

    もちろん、このような評価は、今も変わっていません。ところが、韓国の経済副首相の発表を見ると、韓国政府の立場が変わったようにも見えます。「どんな形でも参加したい」と言いながら、その背景の説明として、参加すれば10年後にGDPが1.8%増加する一方で、参加をしない場合は0.12%に減少するためだと説明しました。

    本当に変な説明です。そうなのであれば、TPP協定が妥結される前に、このような分析がなぜ出てこなかったのかという言葉しか出てきません。

    そのため、経済専門家たちの間では、韓国が一歩遅れてTPP参加を推進する背景として、経済的な実益よりも、外交、安保、国防など他の分野の問題を考慮したためだという分析を出しています。韓国があまりにも中国側に偏向しているという視線を正すためという説明です。

    実際に韓国は中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)へ持分率1位で参加して、RCEP交渉にも積極的に取り組んでいますね。中国と米国が対立している国際情勢にて、もっぱらTPPを無視し続けるのは格好が良くないと判断したと見るのが正しいようでもあります。

    こんな例を挙げてみましょう。

    ある人が、同窓生60人とほぼ毎日通話しながら親しく過ごしていました。ところが、そのうちの12人が別途グループを作って集まりを持ち始めました。最初は時間もなく、財布に余裕があるわけではなく、別々に個人的に会えばいいだろうと考えて、集まりには出ませんでした。その後、集まりが何回か開催され、その中の誰かが言いました。「お前も出席したらどうだ?」、「どうしたんだ、一緒に集まるのが嫌なのか?」

    その時になって「しまった」と思いました。 「そうだな、俺も参加するよ」

    韓国が一歩遅れてTPP参加を推進するのは、まさにこういった状況なのです。