1987年は韓国の現代史で、最も重要な年です。市民革命で軍部の統治を終了させた年でしたから。

1987年6月、ソウルの街には民主化の熱気があふれていました。大学街の学生たちが、横断幕を持って出てきたのではありません。退勤途中の会社員たちが帰宅せずに、民主化の抗争に同参したのです。

ネクタイ部隊は眠っていた小市民が覚醒したことの反証でした。光州では民主化を要求する市民たちを暴徒として追い込み、集権に成功していた軍部でしたが、都市の中産層の象徴である会社員を無慈悲に弾圧することはできませんでした。彼らは政権の支持基盤でもありましたから。

1987年は、ソウルの大学生パク・ジョンチョルが治安本部の対共分室で拷問にあい、死んだ事件で幕を開けました。彼はデモの主導者でもありませんでした。自分の下宿にいたときに、令状も持っていない捜査官に捕まりました。

反政府運動をしていた先輩の所在を教えろと、水拷問をうけていたときに亡くなりました。

警察は、死亡原因を発表しながら、「机にバンッ！とぶつけたら、アッ！と死んだ」とあきれるような言葉を並べました。

パク・ジョンチョル君はその後、民主化運動の象徴になりました。彼の死から49日が過ぎた日、「拷問追放民主化国民平和大行進」が行われました。当時は、大統領を選挙人団が間接選挙制で選んだのですが、民主化のポイントは国民の手で大統領を直接選ぼうという、憲法改定にありました。

全斗煥（チョン・ドゥファン）政権は国民の熱望にもかかわらず、その年の4月13日、護憲処置を発表します。体育館で大統領を選ぼうとしたということです。これに対抗した民主を望む人々は、民主憲法争取国民運動本部を組織しました。

大学の外では、一日も休まずに、連日デモが続きました。6月9日、延世大学の学生イ・ハンヨルがデモの途中に戦闘警察隊が投げた催涙弾にあたり、重体に陥りました。

そして、次の日の6月10日、集権与党である民主正義党は、ノ・テウを大統領候補に選出しました。体育館で選挙人団が選んだ選挙方式が維持されるのだとしたら、事実上、次期大統領に指名されたようなものでした。

まさにその日、軍部独裁の終息と大統領直接選挙制を目標に、全国の大都市で6月抗争が起きました。

毎日夕方、ソウルの街には「護憲撤廃」というスローガンと一緒に、「君のための行進曲」が流れました。街に繰り出していなかった会社員も建物のガラス窓越しに、一緒に民主化の象徴であるこの歌を歌いました。

軍事政府は、これ以上、持ちこたえることができませんでした。国民の改憲要求を阻止したければ、大規模な軍事作戦を繰り広げるほかありませんでしたが、ソウルオリンピック（1988年）を誘致した政府としては、全世界が見守っている中で、ソウルなどの全国の大都市で軍事作戦を行うわけにはいかなかったのです。

結局、民主正義党の大統領候補であるノ・テウが直接選挙制改憲案を受容する6.29宣言を発表します。5.16軍事革命以降続いてきた、独裁政権が民衆に降伏した瞬間でした。

1987年は、そんな年でした。民主化運動を行っていた人を収容していた牢獄の門が開き、自由に歓喜する声が響いた年です。韓半島（朝鮮半島）の民主化の熱気に刺激を受け、海を渡った台湾でも38年間続いてきた戒厳令が解除されました。そして、民主化の熱気は産業現場へと移り、大規模な労使紛糾が起きました。

しかし、民主化運動の結果は半分だけの成功に留まりました。野党の大統領候補単一化が不発に終わった後、その年に実施された大統領選挙で普通の人であることを強調したノ・テウ候補が当選しました。

幸せな家庭を後にして、民主化に没頭したせいなのか、1980年代の低出産の傾向は極に至り、その年に生れた新生児は外貨危機で暮らしが厳しかった1998年よりも少なかったのです。

生れた子どもが少ないので、1987年生まれの芸能人もあまり多くはありません。この年に生れた男性芸能人を挙げてみましょう。イ・ミンホ、チャン・グンソク、イ・スンギ、チュウォン、チョン・イル、アン・ジェヒョン、キム・ヨングァン、JYJのキム・ジュンス、SS501のキム・ギュジョンとパク・ジョンミンとキム・ヒョンジュン（末っ子）、ソ・ジュンヨン、ソ・イングク、BIGBANGのT.O.P、SUPER JUNIORのリョウクとシウォンと元メンバーのキム・キボムなどがいます。

女性芸能人には、MBCの歌番組『覆面歌王』に登場して決勝まで行き、観客を驚かせた俳優のキム・イェウォン、パク・ハソン、ガールズグループT-ARAのソヨン、Brown Eyed Girlsのガイン、4minuteのヒョナ、Nine Musesの元メンバーソヨン、天上智喜のステファニーなどが、この年に生れました。

韓国では生れる新生児が減りましたが、他の国では一生懸命に子作りに励み、この年の7月11日、世界の人口が50億人を越えました。その後、毎年7月11日を人口の日に指定して、人口の問題に対する国際的な関心を高めましたが、いつのまにか世界の人口は70億人を超えたのを見ると、人口問題に関心を持って汗を流しながら子作りに励んだ人が多くなったようです。

この年に生れた芸能人のファンは彼らが生れた年として1987年を思い浮かべますが、世界のサッカーファンはサッカースターが生れた年として記憶しています。サッカーの歴史上、最高のスターと言える、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、カリム・ベンゼマ、ゴンサロ・イグアイン、本当に数え切れないほどのサッカースターがこの年に生れました。