記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
HOME > 韓国Q&A

  • Q.
    韓国のドラマ作家:90%のドラマ作家が女性?
  • A.
    そうですね。本当に面白い現象です。

    ドラマ作家はお金を稼げる職業なのですが、ヒットが保証されていると噂される作家たちは、みな女性たちです。

    テレビのリモコンに対する絶対権力を行使する人が30~40代の主婦で、主婦たちの評判が視聴率を左右するからでしょうか。

    とにかく、文章を書く職業の中で、小説家、詩人、劇作家、シナリオ作家は男女の差がそれほど大きくありませんが、特にドラマ作家だけは女性が圧倒的で多いようです。

    韓国の職業の中で、これほどまでに女性のパワーが強いところは、薬剤師と小学校の教師くらいです。薬剤師の男女の比率は同じくらいなのですが、男性は高齢な人が多く、30代以下では女性の薬剤師が男性の4倍にもなります。

    小学校の教師はさらに偏っています。ソウルのある小学校には、男性の先生がひとりしかおらず、何年か前には、男性の教師がひとりもいない学校も何校かありました。男性の先生が減ったため、最近では教育大学の入学の定員に占める男性の割合を3分の1ほどに保つことができるよう男性に特恵を与えていますが、それでも全体の教師のうち、女性が79.7%を占めているほどに圧倒的です。ソウルでは、女性の教師の比率が88.7%にもなります。

    女性の教師が多い理由は何でしょうか。昔は「他にする仕事が無くて、子どもたちを教えているのか」など、学校の先生は男性の職業の中では優先順位が低かったという理由を挙げることが出来るかもしれませんが、結局は女性たちの実力が男性よりも上回るからだと見るべきです。

    ドラマ作家の女性偏り現象はさらに顕著です。最近まで放送されたドラマを書いた作家を確認してみたところ、女性の比率が90%を超えるようです。女性作家がドラマを独占した理由も、教師と同じでしょう。

    最近は、芸能界が韓国社会の底辺の文化ではなく、主流になっているため、作家になろうとする人もたくさんいます。インターネットで小説を連載している人も、いつかは自分の作品がドラマに生まれ変わるのではないかという夢を見ます。

    高校を卒業してまもない人から、一流大学を卒業して就職をしたものの、ドラマ作家の夢を抱いて放送作家教育院に入学する30代もいます。それよりも年齢の高い人もときおり混ざっています。

    作家志望の人が夢を実現する確率は、歌手志望の人がスターになったり、プロ野球選手を夢見る幼い学生がスター選手になる確率ほどに低いです。ベンチャー企業を創業して成功するよりも、スターになったりドラマ作家として成功することのほうが大変なようです。

    KBS、MBC、SBSなど、放送局は新人の作家を発掘するために、毎年ドラマ作品公募展を開きますが、軽く計算しても応募作品が4000本以上あります。作品がとても多く、審査が大変だったのか、KBSは今年の公募展に出品する資格を既存の作家に限定してしまいました。

    ドラマ作家になることが難しいため、まずはバラエティや教養番組でエピソードや出演者の会話内容を書く構成作家になろうとする人も結構います。ここで筆力が認められて、ドラマ作家へと踏み出すのです。人気のあるドラマ作家の助手作家になって、自分だけの作品世界を持って、出てくることもありますが、これは簡単な事ではありません。弟子というよりは、お手伝いさんのような位置になり、世話をしなくてはいけません。あらゆるめんどくさい仕事を引き受けて、資料を探して、アイディアを出して、だからと言って褒められることもまれです。

    個性が強い作家のもとで助手をすると言うのは簡単ではないため、相手によく合わせることのできる女性のほうが有利な事でしょう。女性作家たちも男性の助手よりも女性の助手に指示を出すほうが楽でしょうから。このような点も女性作家がドラマ市場を掌握した、一つの要因になるでしょう。

    韓国ドラマの作家はとても力を持っています。アメリカのドラマは作家がひとりではなく、チームを作って共同作業をしますが、韓国では、作家一人ですべてのことを計画します。視聴率が保証されている地位の高い作家たちは、脚本の単語ひとつでも変えることができないようにします。演出を引き受けた放送局のプロデューサーもじっとしていられません。俳優のキャスティングに対する影響力も強いです。

    ドラマ制作会社が経費を調達するために業者から協賛を受けた場合、その業者の話をドラマに差し込むために担当者が作家にものすごく媚びを売ることになります。「アパレルメーカーから協賛が入ったので、店頭を一度でもいいから撮らせてください。今回も画面に出てこなかったら協賛を取り消すそうです。お願いです。セリフの一言でも…」

    ずいぶんと前のことですが、韓国でドラマの大母と言われるキム・スヒョン作家が放送局に入ろうとしたときに出入りを統制する警備員に制止されたことがありました。気分を害したキム・スヒョン作家は、家に帰ってしまい、この知らせを聞いた放送局は大騒動となりました。結局、放送局の社長が直接家に訪問して謝罪し、事なきを得ましたが、不幸なことにその警備員は解雇されたそうです。

    キム・スヒョンほどの作家になると、自分が好む俳優が存在します。自分の作品を上手く消化できる俳優を選ぶからです。最近では、高齢の元老俳優となりましたが、カン・ブジャ、キョン・ミリ、キム・ヘジャ、イ・スンジェ、イム・イェジン、ハ・ソクジン、ホ・ヨンランなどがキム・スヒョン作品によく登場する俳優です。彼らをキム・スヒョン師団と呼びます。

    このような師団を構成できる作家はトップに君臨している作家と言えます。師団を作ったドラマ作家がキム・スヒョンの他にも誰がいるのか、次回、紹介します。