記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
HOME > 韓国Q&A

  • Q.
    韓国では住宅の層間騒音(上下階の騒音)問題が深刻ですか?
  • A.
    去る7月2日、京畿道河南(ハナム)市のあるアパートで、30代の男性が上の階に住む老夫婦に刃物を振り回す事件が起きました。腕と脇腹を刃物で刺された60代の男性は無事でしたが、腹部を刺された夫人は病院に移された直後に亡くなってしまいました。

    30代の男性は上の階に行く時から計画していたようでした。玄関のドアロックの暗証番号を調べるために上の階の玄関の天上に監視カメラを設置していました。家族がいない間に彼は調べておいた暗証番号で上の階の家に浸入して部屋で休んでいた夫婦に凶器を振り回しました。

    高齢者が住んでいたため、それほど大きな音がするはずはありませんが、週末ごとに遊びに来ていた子どもたちが走り回り、ときには大人たちの足音がうるさく感じたというのが犯行動機です。

    上下階の騒音により、殺人まで起きてしまったのです。

    韓国では、層間騒音(上下階の騒音)が原因で起きた殺人事件が以前にもありました。

    去る2005年7月には、富川のある団地で2階に住んでいた40代の男性が下の階に住んでいる親子に凶器を振り回し、母子を殺害しました。

    この事件が起きる1カ月前には、ソウル舎堂洞(サダンドン)の住宅2階に住んでいる40代の男性が、「上の階の騒音で気が狂いそうだ」と抗議しにきた下の階の住民とトラブルとなり、怒りを我慢することが出来ずに台所にあった包丁を振り回して、下の階の40代の男性が亡くなり、60代の母親も重体になりました。上下階の住民間でどれほどの争いがあったのか、周辺のひとたちは「どちらが引っ越せば静かになるだろう」と言っていたそうです。

    2010年から、上下階の騒音による恐ろしい事件が、忘れる頃になると再発しています。殺人事件とまではいかなくとも、怒りを我慢できずに上の階へと上がって行き、玄関にあるベビーカーに火をつけた事件もありました 。

    上下階の騒音が恐ろしい事件へとつながりますが、解決することはそれほど簡単ではありません。下の階に暮らす人はこどもたちが走る音でノイローゼにかかりそうだと言いますが、「こどもたちを部屋の中に閉じ込めて育てろと言うのか」という上の階の住民の抗議にも一理があります。

    上の階の住民がいくら努力しても減らない騒音もあります。トイレの水を流す音、部屋の床に置いておいた携帯電話が振動する音、夫婦が愛し合いながら自然に漏れる音などは防ぐ方法がありません。このような音まで壁を伝って下の階に伝達されるのだとしたら、紛争の原因は近所の人ではなく、アパートを建てた建設会社だと見るべきでしょう。

    だからと言って、韓国のすべてのアパートが上下階の騒音に悩まされているのではありません。2005~2010年の間に建てられたアパートが上下階の騒音にもっとも脆弱です。この期間に建てられたアパートについては、床の厚さ(壁式構造21センチ)か重量衝撃音基準のうち、どちらかひとつだけを充足していればいいと、騒音基準が緩和されていたのです。

    古くても1990年代前半に建てられたアパートは上下階の騒音が大きく問題になりません。アパートを支える柱が音を吸収する役割をするからです。さらに保温のためにスラブの間に小さな石である豆砂利を入れていたのですが、砂利の騒音を遮断する効果が少なくありませんでした。

    建設会社がアパートをたくさん建てるため、技術もだんだんと発展しました。柱もなくして、壁と天井をつなげただけでも荷重を支えるのに何の問題もない技術も開発されて、豆砂利の必要ない、気泡コンクリートも開発されました。費用が節減されました。費用節減により、建設業者の利益は増加しましたが、騒音問題が生れました。それでいて、ひそかに政府が税制の恩恵を与えたり、容積率のインセンティブを与えてくれるのではないかと様子を窺っています。

    とにかく、今現在としては、住んでいる家で騒音がするからと、建設会社を相手に訴訟を提起しても勝つ方法はありません。だから、住民同士、勝手に解決したり、法に任せなくてはいけないのですが、去る2014年に作られた層間騒音基準では、トラブルを防ぐことは簡単ではありません。

    • < ※1分間測定した騒音平均値基準、昼間43dB、夜間38dB、最高騒音も昼間57dB、夜間53dB >

    上の表を見ればお分かりかと思いますが、世界保健機関(WHO)の基準に比べて高い方です。実際に紛争が起きる数値よりもはるかに高いです。ほとんどの騒音が基準より下にあるんのですが、つまり騒音が少ししたとしても我慢しろということです。

    韓国政府がこのような政策を広げる背景は上下階の騒音問題を解決する根本的な方法が無いからです。新しく建設されるアパートの騒音問題も解決できるのか予想できない状況ですから、すでに建てられたアパートの騒音問題は本当に神の助けが必要な問題です。

    上の階からする音にうんざりした下の階の住民は、法廷で争っても勝つことが難しいことが分かってるため、最近では復讐戦を計るそうです。扇風機に石をつけて、天上につけて回したり、トイレでトンカチを使用したり、壁を叩いたり、スピーカーを天井に近づけて映画でケンカをしたり殺人を行う場面を連続で流したりもします。復讐のためにつかう、復讐商品まで登場した状況です。

    お互いにケンカをしていれば、いつかは譲歩の美徳を理解するかもしれませんね。ところで何時からでしょうか。上下階の騒音によって殺人事件も起きたという記事が報道された後、下の階の人はエレベーターで出会っても、上の階の人を睨みつけるそうです。記事が記載されている新聞紙を手に持って。