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  • Q.
    どのような映画が韓国で「制限上映可」になるのですか。
  • A.
    韓国の映画等級審査において、注目すべき部分は5番目の等級である「制限上映可」です。可という単語が最後にありますが、これは不可判定と同じようなものです。映画の制作会社や輸入業者にとっては、死刑宣告が下されたようなものです。

    理由は、韓国に制限上映の判定を受けた映画を上映する劇場がないからです。一時は、韓国にもこのようなレッテルが貼られた映画を上映する劇場が6カ所もありました。しかし、経営難により4カ所が廃業し、国都劇場とトンソンアートホールは芸術映画専用館に変わりました。

    厳密に言うと、映画を上映する劇場があったとしても、広告ポスターを張ることは不可能で、大衆メディアに広報することもできないため、観客を集めることは無理に等しい状態になります。CDの販売すらできません。結局、等級判定が必要のない映画祭や、そうでなければ監督や出演俳優同士で見ろというようなものになります。

    問題は、資本が不足しているだけに、破格的なストーリーや芸術性で勝負をするしかない独立映画(自主映画、インディーズ映画)がこの判定をされやすいという点です。苦労して作ったのにスクリーンを確保することができないのであれば、独立映画の制作者にとっては致命的です。

    等級審査をする映像物等級委員会は法的な制約をしておらず、市場の選択に任せたのだから、仕方のないことだという立場です。映画の制作者が怒るのも仕方がありません。表現の自由を侵害したとして、憲法裁判所に提訴までして勝訴したケースもあります。映像物等級委員会は関連法に検閲基準を含ませておいて、細部の規定を大統領令で定めながら、違憲の疑いから抜け出すことができました。

    2013年には、キム・ギドク監督の『メビウス 』が制限上映可判定を受けて騒動になりました。「専用劇場もないのに、ひどいのではいか」という問題提起がされましたが、映像物等級委員会の判定を覆すことはできませんでした。『メビウス 』の近親相姦の表現が問題になったのですが、「映画が伝えようとするメッセージ(森)を見ようとしても、決定的な木の枝(場面)に目をつむることはできない」というのが映像物等級委員会の説明でした。

    • <「制限上映可」判定を受けたキム・ギドク監督の『メビウス』>

    ポスターがあるということは、上映されたのでは?と考える人もいるかもしれませんね。じっとしたまま破産するわけにもいかないので、いくつかのシーンをカットしたり、モザイク処理をして判定を再度受けたのです。判定を再度受けて、19禁が刻まれた青少年観覧不可の評価が出てきました。作品が良くても大ヒットすることは不可能です。

    作品を一部修正したからと、評価がすべて調整されるのではありません。韓国映画では、『シンキンブルー』(2009)と『優しい女秘書の目的』(2016)、日本映画の中では『甘い鞭』(2013)、『トーキョーXエロティカ』(2001)、『2番目の母』​​(2012)、『いくつになってもやりたい不倫』(2009)、『背徳の森』(2006)、『ビジターQ』(2001)などなどが制限上映可判定を変えることができませんでした。

    アメリカ映画では、『ABC・オブ・デス』(2012)、『リチュアル』(2009)、『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006)、タイ映画『人肉スープ』(2009)、『セルビアン・フィルム』(2010)、ドイツ映画『楽しいサラ』(2012年)、フランス映画『地獄の体験』(2004)も同様の運命になりました。

    米国とイタリアの合弁映画の『カルリキュルラ』はなんと1時間を削除して、ようやく評価が下方調整されました。『カルリキュルラ』は米国でも評価判定を拒否したほどの映画だったので、映等委は最初から輸入しないようにとの通知までしていましたが、輸入会社側は制限上映館を作る無理までしながら、制限上映可判定を受けたノーカット版を上映したりもしました。

    映等委から限定上映判定を受けた最初の映像は、北朝鮮が制作したドキュメンタリー『動物の繁殖』です。動物の繁殖行為が赤裸々に含まれた映画なのですが、動物の繁殖行為を削除した後に上映されました。なんと、削除されたシーンが5分の4にもなったそうです。

    先立って紹介した『メビウス』は、日本でも7分程度の分量が削除された後、R18 +に指定されるなど、世界各国の判定基準は似ていますが、いくつかの映画は大きな違いを見せることもあります。『楽しいサラ』はドイツでは12歳以上観覧可、『地獄の体験』はフランスで16歳以上観覧可だったので、韓国とは基準が違っても、あまりにも違います。

    明示的な下半身の露出、近親や混淫など、社会倫理に反する性的な行為、児童青少年を性的な対象として描写、過度に刺激的な暴力行為(非常にリアルに描写した戦闘シーンも含む)があれば制限上映可判定を受けることになります。テーマやストーリーはあまり関係ないようです。

    一例として、日本映画『色情めす市場』(1974)などは、10分間のシーンを切った後、青少年観覧不可で上映されました。

    アメリカ映画『ショートバス』(2006)は、輸入会社が訴訟まで行い、2年ぶりに勝訴判決を受けて、青少年観覧不可映画で放映されました。青少年観覧不可判定を受けた映画はその後どうなるのか。そこからは映画館の自由です。19禁だけでなく、12禁、15禁映画もありますから、頭が痛いことでしょう。

    さらに、最近では、マルチスクリーンが流行しているので、観客があまりいない時間帯に全体観覧可のチケットを買って持って入って、19禁映画をこっそり見る人もいると聞きます。映画が始まって10分ぐらい経つと、入り口でチケットを検査する職員が席を離れるからです。席を離れなかったとしたら? 縁起のない日ですね。