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  • Q.
    梨花女子大で起こった立てこもり事件の背景と警察が投入された理由を教えてください。(下)
  • A.
    ※ この記事は「梨花女子大で起こった立てこもり事件の背景と警察が投入された理由を教えてください。(上)」の続きです。

    梨花女子大に警察が投入された後、事態が学校側に非常に不利になりました。最終的には学校の構成員の意見を取り入れずに進めてきた「生涯教育単科大学支援事業」は白紙化されました。

    梨花女子大事態の後、生涯教育単科大学支援事業に参加した東国大学もざわついています。東国大は梨花女子大で論議がおきる前、すでに組合の同意まで受けておいた状態でした。ところが、梨花女子大の事態の後、問題点を認識するようになったと、生涯教育単科大学の学生選抜過程やカリキュラム、教員の構成などの詳細については、学校側と協議をすると、学生会が動いたのです。おそらく、東国大の生徒会は「あなたがたは、学校が学位商売をしてもいいのか?」、「学校のイメージを30億ウォンで売り払ってもいいのか?」という学生の叱咤が怖かったのかもしれません。

    どうして事態が急激に座り込みをしていた学生側に有利になったのでしょうか。生涯教育単科大学支援事業が、学生の主張どおり、学位商売に過ぎないからでしょうか。そうなると、教育部が学位商売だと批判を受ける生涯教育単科大学支援事業に国庫まで支援している理由は何でしょうか。ただただ、大統領の公約事業だからなのでしょうか。

    実は、韓国で高卒出身の人が年を取った後、4年制大学のコースを学んで、学位を受け取る機会はいくらでもあります。放送通信大学があり、遠隔教育をサポートする4年制のサイバー大学も19校にもなります。大学の卒業証書だけで足りるのであれば、サイバー大学院で修士号まで受け取ることができます。

    首都圏でなければ、成績があまり良くなくても大学進学が可能な大学はゴロゴロしています。ある専門系の高校教師がメディアのインタビューで「大学が多すぎて、3年間、寝てばかりいた子たちも大学に合格した」という言葉を伝えるほどです。

    韓国では、行く気になれば誰もが行けるのが大学です。大学があふれているため、地方の名もない大学たちは学生を誘致するために多大な広告費をかけてCFを撮ったりします。学問研究に邁進しなければならない教授が学生を誘致するために外回りをします。

    それでも韓国の大学進学率はだいぶ落ち着きました。少し前まで、高校の卒業生の84%が大学に進学していましたが、2015年には70.8%に低下しました。大学は増えたのに、進学率が落ちた理由は何でしょうか。もしかしたら、大学卒業者と高校卒業者の賃金格差が減ったからでしょうか。それとも学歴に対する社会的差別がなくなったのでしょうか。

    それならどれほど良いでしょうか。大卒者5人のうち1人は高卒の平均賃金よりもお給料が少ない職場を受け入れなくてはいけないのだとしても、職場で高卒社員が受ける苦難は相変わらずです。大学に行く代わりに他人よりも4~5年早く稼ぎ始めた高卒社員は大卒の後輩たちが先に進級して、大卒の同僚との賃金格差が日増しに大きくなる現実に、自分の選択を後悔します。

    それなのに、なぜ進学率が落ちたのでしょうか。

    大学を卒業したことよりも、どの大学を卒業したのかが重要になったからです。名門大学の卒業証書は就業や結婚するのにも役立ちますが、聞いたこともない大学の卒業証書は、一枚の紙に過ぎません。一枚の紙を諦めたことから、大学の進学率が低下したのです。

    代表的な遠隔大学である放送通信大学の場合を挙げてみます。放送大学の授業料は年間で100万ウォンにもなりません。だたし「お金を払って買う学位」というイメージもありません。入学生の20%だけが卒業できる程に卒業が難しいため、放送通信大学を卒業した場合には、少なくとも誠実さだけは誰もが認めます。

    それでも放送通信大学は定員を埋めることが容易ではありません。経済学科の場合、今年の志願者が募集定員1926人の18%である354人しかいません。競争率が1対1を超える学科は、教育科学大学の青少年教育科と幼児教育科程度です。幼児教育科は2015年に48.52対1の競争率を見せるほどに志願者が殺到しました。

    ソウルの主要名門大学で生涯教育を受ける窓口もあります。最高経営責任者コースに入ると、権力と財力を持った人々と親しくなることもできます。学歴が低い人のための生涯教育も全国142の大学に設立されています。

    ところが、学位を希望する高卒会社員は生涯教育や最高経営責任者コースが目に入らないようです。聞いたこともない大学やサイバー大学の学位にも満足しません。なぜでしょうか。一枚の紙に過ぎないからです。だから、他人が、会社の社長が認めてくれる大学の学位が必要なのです。

    生涯教育単科大学支援事業の対象に選ばれた大学に最高の名門大の名前を見つけることはできませんが、聞いたこともないと無視されるような大学もありません。名門大を夢見る高卒会社員に裏門を少しだけ開けてあげていることが間違っているのでしょうか。

    間違いは、激しい入試競争をくぐって大学に入ってきた学生を説得することができる、いかなる制度的装置も作らなかったことにあると言えるでしょう。 「裏口から入ってきたが、堂々と前から出て行くことができるように、徹底した学士管理をしたい」「入学は簡単でも、卒業資格は放送大学以上に厳格に管理する」という程度の最小限の装置も作られていないからです。

    むしろ会社員の学生や30代の主婦学生の便宜のために、週末集中講義、インターネット講座などを通じて、2年6カ月程度で卒業が可能なようにしたいなんて、学位商売と見られても仕方がありません。「授業料が高いことで有名な梨花女子大で4年間の学位を2年半で受け取ることができる人は、貧しい高卒の会社員ではなく、お金が多い人々になるのではないか」という非難を鎮めることが先決課題だったような気がします。