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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国のテレビ番組を見ていると、モザイクがたくさん出てきますがイライラしませんか?
  • A.
    本当にイライラします。時には腹が立つくらいです。

    もちろん、理解はしています。物心のついていない子供たちが放送を見た時のことが心配になるからでしょう。カウボーイを連想させる広告で青年たちを喫煙の世界に引き込んだタバコの会社もあるではないですか。韓国でも学生に高級なダウンジャケットの熱風を起こしたのがバラエティ番組で芸能人が着ていた服だからという主張もあります。

    優雅な指に挟まれたタバコをモザイク処理したものは仕方ないとしても着ている服ごとにラベルを隠そうとシミがついたところを消すようにモザイク処理している場面は本当に醜いです。おそらくモザイクのせいで視聴率が落ちたに違いありません。

    ところが知っていますか、映画にはモザイクがほとんどないという事実を。大人のための映画の中にモザイクが時々出ますが、それは日本も同じですよね。とにかくモザイクは、視聴年齢を制限することが事実上不可能なTV放送の問題として限定されると思います。

    放送でモザイク処理をする理由はいくつかあります。まず、肖像権の侵害。野球場やデパートの姿が放送される程度ならば了承するでしょうが、ディスコで狂ったように踊る場面が電波に乗っては困ってしまうでしょう。

    浮気している男女がカメラに撮られてテレビの画面に登場したとしたら、恐ろしいではないですか。このような理由以外にも、カメラを避ける人がかなりいるので肖像権侵害で訴えられたくない場合は、モザイクが必要です。

    ドキュメンタリーなどでは、証人の身元を隠すために後頭部だけ見せたり顔をモザイク処理している場合がよくあります。

    以上、ここまでは韓国も日本もあまり変わらないでしょう。次に、靴、帽子、ハンドバッグなどありとあらゆるものの商標を隠すモザイクはいわゆる間接広告(PPL Product Placement )によって差が出ています。間接広告を広い範囲で許す日本やアメリカとは異なり、韓国ではまだ限定的にしか許可されていないのです。

    韓国ではまだ「映画は商業的なメディアである一方、テレビ放送は公益のためのメディア」との認識が強いからでしょう。公益性を追求する日本のNHKが間接広告をあまりしないのと似ていると思えば良いです。そのため、協賛を受けた事実を明示する場合に限り制限的に間接広告が許可されます。

    考えてみれば間接広告を無制限に許可したとしても、テレビ番組に取り入れられる商品はそれほど多くはないでしょう。広告を得るのが容易ではないからです。韓国でドラマを作って放送局に納品する制作会社は企画段階からもがいてみても望んだだけの協賛社を誘致していない場合が大半です。企業がドラマが成功すると確信してこそ協賛するようになるからです。放送が開始された後、良い反応が出たら協賛社が並ぶでしょうが、すでに電車は出発した後です。

    さらに、一銭でも多く稼ごうとする制作会社とは異なり、放送局や演出者、ドラマ作家などは作品性を落とすからと協賛を快く思いません。しぶしぶ、応じる程度でしょう。こうした中、協賛してもいない企業の商品がブランド名を露出して放送されることはありえません。到底考えられないことでしょう。

    実際には間接的な広告が効果を出すには作品の中に見事に溶け込まなくてはいけませんが、それが簡単なことではありません。ハリウッド映画「フォレスト・ガンプ」ではAppleのブランド名がとても自然に露出しましたが、このような成功事例はあまり一般的ではありません。ややもすると、視聴者や観客をイライラさせて売り上げが落ちるか心配をかけることもありますので気をつけなくてはいけません。

    Tip :モザイク処理をしたからと非難から自由になれるということでもない。少し昔のことではあるが子どもを育てる姿を描くバラエティー番組が銭湯内部の風景を放送してひどい目にあったことがあった。女湯にばかり行っていた男の子を男湯に連れて行くという子どもの成長する姿を見せようとする意図があり、​人々の了承を得てモザイク処理をしたと釈明したが、降り注ぐ非難を避ける道はなかった。最も厳しかった非難は次の通りである。
    「モザイクをしていない原本があるではないか。編集過程で、君たちはみな見なかったのか?」
    非難の内容も何とも言えない。
    • 間接広告の成功事例に選ばれる映画「フォレスト·ガンプ」の一場面