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  • Q.
    SM、YG、JYPなどの大型芸能企画社の練習生たちの日課を教えてください。(5)
  • A.
    ※この記事は「SM、YG、JYPなどの大型芸能企画社の練習生たちの日課を教えてください。(4)」の続きです。

    主君なく山野をさまよう武士、浪人。俸禄を受けられない武士です。

    科挙に及第してこそ仕官の道が開かれていた朝鮮時代にも、妻に家事を任せて試験勉強をする士人たちが溢れていました。無精ひげが顔を覆う時にも、科挙の及第だけを見つめて家族を苦労の道に駆り立てたでしょう。刀の代わりに本を持った浪人たちです。

    朝鮮時代の士人・浪人の生活を現代に入っては考試浪人(司法試験などの国家任用試験を準備する受験生)が受け継ぎました。大学の考試村(公務員試験を準備する学生たちが集まって暮らす地域)で中年の考試浪人に会うことも難しくありません。なぜその年齢になってもあきらめないのでしょうか? 他人が見ても学識が惜しい名教授、すでに名判決を何度も出した裁判官のような浪人たちなのです。

    以前の100点満点で60点以上を合格させていた絶対評価で判事・検事を採っていた時に59.39点で不合格だったらどうやって考試を放棄しますか?

    似たような浪人集団は囲碁の棋士でも見られます。囲碁の英才たちは非常に若い年齢で韓国棋院研究生として入ります。企画会社のデビュー組と似たような研究生1組の実力は、世界トップ棋士とも対等に対局を繰り広げることができる実力の持ち主です。しかし、132人に達する研究生の中で、ごく少数だけがプロ入団に成功します。

    1年に8回行われる研究生リーグで成績が下位10人に入れば、研究生から脱落します。だから学業を放棄して、一日中囲碁にしがみつきます。子どもの世話のために地方に住んでいた親たちは、職場と住居までを移します。そうして20歳になり、入団できなければ年齢制限にかかって韓国棋院を去らなければなりません。寂しく退場した後、進路を変えますが、進路を変えたもののなかなかプロ棋士の夢をあきらめられない囲碁浪人として残ったりもします。

    デビューに失敗した芸能企画社の練習生も浪人になりがちです。アイドル練習生の競争は、プロ棋士になろうとする研究生よりも激しいです。プロ野球、プロサッカー選手になるために努力する選手たちも、アイドル練習生の生存競争よりはマシでしょう。

    幼ければ10歳から高ければ20代後半までの舞台に立つことを望む練習生と志望者は数万人。彼らのうちで地上波放送に顔が映る機会を掴んだアイドルはわずか数チーム、数十人だけです。0.01%の確率ゲームで勝った人だけです。

    10代を歌と踊りに全力投球した練習生がデビューできなくなれば、人生そのものが宙ぶらりんになります。これまで傾けてきた努力が水の泡になって、何もできない自分に対する懐疑だけでいっぱいになるでしょう。困難の中で大学に入った場合には、トレーナーとして音楽で生きていく余地が残りますが、そうでない場合には人生が途方に暮れてしまいます。

    4~5年以上を練習生として過ごしてみると現実感が低下します。成人になっても世間にうとく、社会に適応する技術も能力も喪失します。歌手の夢は遠くなり、焼肉店、カフェでアルバイトをして、携帯電話売り場で客を引く身に転落します。航空機の乗務員として新たな人生を見つけた人もいるかもしれませんが、たまには遊興街に流れたりもします。

    企画会社との契約は、練習生の人生をより台無しにします。日本で韓流ブームが真っ最中だったころ、少なくない韓国アイドル歌手たちが日本でデビューをしましたが、相当数が成功を収められませんでした。所属事務所のサポートが円滑でない場合には、国際迷子になりがちです。

    ワーキングビザなどのあらゆる手段を講じて日本に滞在し、最終的に強制出国させられた人も少なくありません。不法滞在で摘発されず、ずっと日本で活動しようとするには日本人と結婚しなければならない窮地に追い込まれることもあります。仕方なく韓国に帰って来ても、できることがあまりありません。所属事務所との契約が残っているからです。

    契約に縛られた身体であるため、他の企画会社のドアを叩くこともできず、オーディション番組に勝手に参加することもできません。契約から解かれる頃には年齢を重ね、他の場所で受け入れてもらえません。

    アイドルを夢見る100万人のうち、並外れた才能を持った人は何人でしょうか? 「夢を見て汗を流せば果たせないことはない」という情熱だけで歌手のドアを開くのは難しいです。そのような事実を企画会社や練習生を訓練するトレーナーたちも知っています。

    しかし、企画会社もあふれ出て、トレーナーも飽和状態です。彼らも学生(練習生)の誘致競争を起こしています。才能のある子どもたちだけを教えたいけれど、才能がなくても訪ねてくるお客さん(?)を帰すことは容易ではありません。

    練習生1人1人がトレーナーにとって生計であるため、熱心にしてみるとなかった才能も作られるから、夢に満ちた子どもに「あなたは歌手になることができない!」と断固して言うことは難しいわけです。実際に「君が歌手になれば私の手を焼く(君が歌手になることはあり得ない)」という言葉を聞いたというエピソードを聞かせてくれた人気歌手もいますからね。

    デビューが遅れて、会社から退出させられても運がなかったと考えたり、努力が足りなかったと、より執拗に食いかかれば食いかかるほど、努力が惜しくて芸能界を離れられず周辺を漂流するようになります。

    このような浪人たちがいっぱいに溢れると明らかに大変ですよね。ある企画会社の代表は、約5年後には韓国にデビューできなかった20~30代の練習生があふれ、社会的問題としてふくらむだろうと見ています。

    日本でも徳川家康が、江戸時代を開く際に全国を放浪する浪人により頭を悩ませたといいますよね。江戸幕府3代将軍の徳川家光の代に浪人の数が50万人に迫ったといいますが、練習生浪人がそれほどまでにならなければいいですね。