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  • Q.
    今回のチェ・スンシルゲートと関連して「文化界のブラックリスト」について教えてください。
  • A.
    1453年、甥を追い出して王位を簒奪した首陽大君(世祖)の謀略家の韓明澮(ハンミョンフェ)は、殺生簿を作成しました。宮門の後ろに武士を隠して、宮中に参入する大臣のうち、殺生簿に含まれている人を刺殺しました。

    最近出回っているブラックリストがまあ、その程度までではありません。ブラックリストに入った人数もあまりにも多く、リストに入っていないことがさびしいほどです。

    毎週末、光化門のろうそくデモに参加する歌手イ・スンファンもそのようなことを言いました。広場の舞台に上がった彼は、「文化界のブラックリストにも上がれなかった、恥ずかしい、最近さらに奮発する歌手だ」と自身を紹介しました。

    普段から所信のある発言で有名だっただけに、ブラックリストに上がれなかったことが恥ずかしいのかもしれません。リストに載った文化芸術人の数があまりにも多いですからね。

    • < 2015年5月に作成されたブラックリストの表紙 >

    上の写真は、ブラックリストの表紙として知られた文献の写真です。リストに載った人をすべて知る必要はありません。歌手や俳優より文学、演劇人、そして映画の方では俳優ではなく監督が多いです。計9473人になっていますが、名簿を入念に調べてみると、重複した人もおり、実際の人数は何人か減少します。この名簿は、本人もリストに含まれている民主党ト・ジョンファン議員が国政監査で主張して、韓国日報の報道で確認されました。

    匿名の情報提供者は、政府から下りて来た文献を直接見た後に、非常に呆れて写真を撮っておいたといいます。そうするうちに我慢できずに韓国日報に情報提供をすることになったといいますね。

    情報提供者が見た文献はA4用紙で100枚分にもなります。2015年から文化芸術人の間に広まっていたブラックリスト1万人説が事実だと確認されたのです。以前、政府にもブラックリストの話はしばしば浮上しました。しかし、リストに上がる人が北韓(北朝鮮)体制を称える従北主義者や反体制派に限られた反面、現政府に作られたリストには野党の大統領候補を支持した文化芸術人がことごとく含まれているため、少し呆れますね。

    ブラックリストが作成された時期は、だいたい2014年の夏から2015年1月の間と推定されます。セウォル号惨事の後、現政府の支持率が落ち始めた時期と符合しています。

    新聞・放送の報道内容を総合してみると、ブラックリストは、当時の青瓦台(大統領府)秘書室長のキム・ギチュン(金淇春)氏と連帯の下、チョ・ユンソン(趙允旋)政務首席(現文体部長官)の主導で作成されたと思われます。本人はもちろん違うと否認している状態ですよね。

    キム・ギチュン前秘書室長はセウォル号惨事の当時、朴槿恵(パク・クネ)大統領をかかしで風刺した絵『セウォルオウォル』の作家ホン・ソンダムを排除しなければならないと指示し、彼の作品は光州ビエンナーレに展示されなったでしょう。キム・ギチュン室長が文化芸術界の左派策動に闘争的に対応するように指示を下しながら、リストはさらに分厚くなります。

    • < ホン・ソンダム画伯の絵『セウォルオウォル』 >

    ハンギョレ新聞は、全羅南道羅州の芸術委から文体部事務官がブラックリストを持って訪ねてきて、2015年度の芸術人支援事業で名簿に入った団体や人物は抜いてほしいと要請したと報道しました。そのために既に審議確定した支援対象を原点に回し、審議委員を説得して再審作業を起こすのに、通常1月には確定していた支援対象を3月末になってようやく定めることできたそうです。

    文化芸術界に事前検閲の風が吹き襲いました。命に脅威はなくても生計は心配しなければならない境遇に追い込まれました。優秀作品制作支援事業に選定されたパク・グニョン演出作品『すべての軍人はかわいそう』が支援金放棄の慫慂を受けたという暴露が出て、イ・ユンテク演出家の戯曲『花を捧げる時間』も審査で1位を受けても支援作選定で脱落したでしょう。

    イ・ユンテク監督は、過去2012年の大統領選挙でムン・ジェイン(文在寅)候補の支持演説をしましたが、選挙後の2012年に崇礼門の再開館祝典の演出を務めたりもしました。それまでは政治的性向があまり問題にならなかったのでしょう。そうするうちに2015年からあらゆる不利益があふれ始めます。

    先に述べた戯曲が「新進芸術家に機会を与えようとする」という理由で支援対象から落ち、コロンビアのボゴタ公演も支援金は一銭も受られなくなり、演劇のメッカとして知られている小劇場「ゲリラ劇場」も政府支援金が途絶え、最終的には売りに出すことになったでしょう。

    放送人キム・ジェドンは、李明博(イ・ミョンバク)政権時代から憎まれるようになり、放送に顔を映せず、地方公演で生計を立てて行ったりもしたでしょう。キム・ジェドンは盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が亡くなった後の路祭の司会を務めた後から、放送から退出され始めました。

    • < 2009年、ソウル地方警察庁が青瓦台民政首席室にあげた情報報告文献 >



    • < ブラックリストに対する文化芸術人の反応 >

    ブラックリストに名前を載せた文化芸術人は非常に堂々としています。考えてみればチェ・スンシル(崔順実)ゲートが開かれる前にも堂々としていました。そのためブラックリストに上がったはずですが。

    リストに載っている芸能人の中でよく知られている人は、俳優ソン・ガンホ、キム・ヘス、ペク・ユンシク、チョン・ウソン、ハ・ジウォン、パク・ヘイル、映画監督パク・チャンウク、キム・ジウン、リュ・スンワン、イ・チャンドン、MCパク・ミョンスらがいます。漫画家ユン・テホとチュ・ホミンも名簿に含まれています。

    ブラックリストに名前を載せた芸術人が声を上げる一方で、チェ・スンシルと顔見知りの歌手、俳優、スポーツ選手は、最近非常にやりきれません。私は「チェ・スンシルを知らない」と否認するのに忙しいですね。ヌルプム体操の試演会で朴槿恵大統領のそばでダンスを踊る映像で苦境に立たされた体操妖精ソン・ヨンジェがかわいそうでもありますね。