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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    チョスンサジャ(冥土の使者)を避けることはできますか。
  • A.
    (ドラマ『鬼』と関連する記事ではチョスンサジャを死神と訳していますが、このQ&Aでは西洋の死神とチョスンサジャとを比較する部分も出て来るので、チョスンサジャを冥土の使者と訳して紹介します。チョスンはあの世や冥土という意味で、サジャは使者という意味です。)

    生涯をけち臭く生きていた男がいました。妻も知らないうちにあちこちに隠しておいたのに、その大切なお金を使うこともできずに死を迎えました。

    冥土の使者に従って、離れたくないなかで足を運んでいたとき、男は冥土の使者に懇願し始めました。

    「お願いだから、私を1度でいいから、この世に戻してくれ。このまま死ぬには、使うこともできなかったお金があまりにも惜しい」

    まったくあの世に行こうとせず、お願いする男を見ていた冥土の使者が口を開きました。

    「なら、私にろうそく3本を捧げることができるか」

    「ろうそく3本?捧げます」

    冥土の使者と契約を結んだ男は葬儀をしていた御棺の中から生き返り、人々を驚かせました。

    貴重な人生を取り戻した男はケチな生活を清算して、余裕を持って暮らし始めました。そんな中、冥土の使者との約束が思い浮かんで、ろうそく3本をあちこちで灯しました。冥土の使者との約束を守ったと安心をしていたとき、3人の息子がすべて変死する惨劇が起きました。冥土の使者と約束したろうそく3本は3人の息子のことだったのです。

    冥土の使者に金品を与えて生き返ったという同様の内容の怪談もあります。黄泉路で命拾いした人は、災害で家畜と作物を失ったそうです。怪談の主人公は「冥土の使者が受けとった金品をあの世の世界で両替したようだ」と苦笑したそうです。

    • < MBCドラマ『アラン使道伝』(2012年)の冥土の使者、手に持っているものがマイクのようも見えますが、魂をつかませておくひょうたんです)>

    韓国の冥土の使者は、西洋の死神に比べて比較的人間的です。仕事の割には身なりも悪くありませんし、上の写真のように黒い塗布に顔は白く塗って表現されます。tvNドラマ『鬼』で冥土の使者(死神)を引き受けたイ・ドンウクも素敵な姿です。

    これに比べて、西洋の死神グリム・リーパー(grim reaper)は、見た目からしてすごく恐ろしく描かれます。下のイメージのように、長い鎌を持っています。魂を収穫するからと、穀物を得るときに使う鎌を持っているそうです。死んだ人ではなく、生きている人の魂を収穫していくのですから、恐ろしさでは韓国の冥土の使者は名刺も出さないほどです。リーパーは手に持った鎌で肉体と魂をつなぐひもを切るそうです。

    韓国でも仏教圏の冥土の使者は、民間信仰とは少し違った姿で亡者のもとを訪れます。

    仏教圏では、直符使者と監斎使者がひとつのチームで活動をするのですが、直符使者は生死簿を見て、時が来たことを教える役割を担って、監斎使者は死んだ魂を引っ張っていく責任があります。通常、将軍の服なので伝来されている冥土の使者の姿とは少し違います。

    冥土の使者は霧のように近づいてきて、「あの世に行く時がきた」と名前を呼びます。名前を3回呼べば、間違いなくこの世とはお別れすることになります。

    しかし、心が弱く、懇願をすると2~3日程度の猶予期間を与えたり、あの世に行く途中にこの世で果たすことのできなかったことを処理するように助けてくれたりもします。

    冥土の使者が人間的なため、冥土の使者を接する遺族の態度も西洋とは違います。

    魂を安全にあの世に導いてくれと使者のごはんを供えてあげます。冥土の使者に礼を尽くすのです。

    死んだ魂を連れて行く途中、食べ物や衣服、靴などの賄賂(?)を受け取った冥土の使者は、接待を受けた相手の頼みを聞いてあげなくてはいけません。これがあの世の法なんですよ。なので、死ぬ時が近づいた人が冥土の使者をあらかじめ接待するを裏技を使ったりもします。少し足りない死神が生きている人に翻弄されるのです。

    冥土の名簿を失ってしまったら、大変です。あまりにも同名異人が多いため、場合によっては間違った人をあの世に連れて行ってしまう可能性があります。閻魔大王に「ちゃんと仕事をしろ」と怒られてこの世に戻したせいで、間違って連れて行った人が目を覚まします。

    ところが、既に地中深くに埋められてしまっているはずで、これをどうすればよいのでしょう。