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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    IMF通貨危機当時、韓国で金を集めていましたが韓国では国が直接寄付を集めることがよくありますか?
  • A.
    昔はよくある事でした。 1990年代までは大きな火事がおきたり、台風被害が生じるたびに寄付を集めることが日常茶飯事でした。

    新聞や放送は、先を争って寄付を集めるという社告を出して寄付を出した人のリストを発表したりしました。募金額がマスコミの社勢を反映している感があったため、競争会社より多くの金額を集めようと記者たちまで動員したこともありました。 大企業の寄付額が大きいため、どうせ出すなら私達の新聞(​​放送局)を通して出してはどうかと要請するのです。四方からこのような要求を受けるため、ある会社は寄付する金額を一定額ずつに分けて新聞社や放送局に出したりもしました。 過去の時代の痛い記憶ですね。

    国民に負担を与えた寄付金となると1973年から1988年まで行われた防衛寄付が、おそらく一番であるはずです。小学生の子供たちも寄付に自発的に(?)に参加する必要がありましたから。 防衛寄付で集めた609億ウォンで、F-4D戦闘爆撃機などを購入しましたが、武器取引の過程で政府と経済界の癒着と高位層の不正問題が起き、寄付は企業に強要する準租税だという批判が提起されて廃止されました。

    1986年に行われた「平和のダム」の建設のための募金はほとんどコメディでした。当時、全斗煥政権は北朝鮮が金剛山ダムを破裂させたら200億トンの水があふれ出てくると恐怖を与え、対応するダムを作るべきだと主張しました。結局、寄付で集めた639億ウォンを合わせた合計1700億ウォン投入した平和のダムを建設しました。しかし、北朝鮮の金剛山ダム爆発はなかったですし、工事費を過度に膨らませていたという非難を受けました。今も韓国の国民は寄付金がすべてダム建設に使われたのか疑問視しています。

    このほか、西海フェリー沈没事故、聖水大橋崩壊事故、三豊百貨店崩壊事故など大惨事がおきるたびに、国民の寄付金を集めました。

    2003年に192人が死亡した大邱地下鉄事故が発生した時、事故発生二日目にして大邱市は全国で募金活動に乗り出し672億円という大金を集めました。このお金で死者と負傷者に慰労金を支給し、50億ウォンをかけて、八公山に「市民安全テーマパーク」を建設しました。今も財団拠出金で110億ウォンが残っていますが、まだ大邱市が持っている状態です。

    このような事例と比較した場合、質問にある「金集め運動」は、韓国を通貨危機から救い出そうと、本当に国民が自主的に行った寄付運動です。1997年11月20日「セマウル婦女会」の「指輪集め」で始まり、民間団体に広がって行きました。このような動きを政府が報告を受けたのは、半月も過ぎてからでした。 そして翌年の1998年1月から「KBS金集めキャンペーン」が始まり全国的に拡散されました。毎日感動的な話が伝えられまいた。新婚夫婦の結婚指輪、子供の1歳のお祝いのための指輪、高齢者が手にはめていた子どもが買ってくれた親孝行リングなど、意味のある金製品が銀行に集まってきました。運動選手は生涯誇るべき金メダルを出し、キム・スファン枢機卿は枢機卿就任時に受け取った金の十字架を寄付しました。このようにして集まった金が約227トン。2011年韓国銀行の金保有量が39.4トンであったことと比較すると、どれほどの規模で集まったのか推測することができます。そうして集まった金はほとんど輸出されました。金を輸出して稼いだドルは22億ドルで、1997年11月基準で韓国の利用可能な外貨準備高であった20億ドルを上回る規模です。

    2014年にはセウォル号が沈没した後、各界各層から寄付金が集まりましたが、慶北道庁も現場の学校に公文書を送り、募金に積極的に協力することを要請しました。それ故、今だに国家機関が資金調達に関与しているという声が聞こえてきます。ただ、中央政府が直接出て募金を集めることはしません。1998年に社会福祉共同募金会が設立された後は中央政府が表に出たことはありません。

    2010年の天安艦沈没の時、韓国放送KBSが募金を主導しましたが、官が主導する募金という非難を受けました。このとき395億円の寄付を集め、その内の146億ウォンで遺族の反対を押し切って天安艦財団を設立したのですが議論の余地をまだ残しています。

    韓国の国宝第1号南大門(南大門、崇禮門)が火災で全焼した後、大統領選挙で勝った李明博氏が国民から寄付金を集めて復元しようという意見を出したところ驚異的な物議にまきこまれたりもしました。

    今回のセウォル号事件では「国民の寄付金で大金を稼ぐつもりか」という悪意のある嘲笑に傷ついたセウォル号の遺族たちが募金を中断するように要請しましたが、これまで集まったセウォル号寄付が1200億ウォンを超えています。セウォル号の遺族たちがまた別の心の傷を受けないようにするためには、このお金が本当に正しく、透明に使われなければならないでしょう。

    国民の寄付金について書いていると、英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russel)の言葉が思い出されます。「正義のある世界であれば、慈善などは必要ない」