エーリヒ・マリア・レマルク（Erich Maria Remarque）の小説『西部戦線異状なし』を読まれたことがあるでしょうか。

映画にもなって1930年にはアカデミー最優秀作品賞に輝きました。

担任の先生の扇動により一緒に入隊したクラスメイトたちは塹壕の中でフランス軍と対峙して一人ずつ順番に死んでいきます。詩と絵が趣味だった主人公の「パウル・ボイメル」は前線で飛ぶ鳥を描いていて銃に撃たれます。

この小説に登場する戦場は塹壕の中から敵陣を狙う野原です。突撃をして機関銃に撃たれ、反撃をしていて撃退されますが、敵が目の前にいるという事実は塹壕の中の兵士すべてが知っています。

小説のなかの西部前線とはことなり、戦場では敵がどこにいるのか分からないことが多くあります。敵の数や火力がどれほどなのか、どの場所に陣が構えられているのかが分からないなら、危険が倍になります。

このような場合、一歩先で敵の動静を探ったり、敵の後方に潜り込んだり、敵の補給物資を破壊する作戦も必要です。

そのような任務を引き受ける特殊部隊のうちのひとつが捜索隊です。大韓民国の陸軍で特殊任務を引き受ける部隊には捜索隊以外に特攻隊、偵察隊、機動隊があります。（※1）

※1：大韓民国の軍警の特殊作戦部隊は情報司令部（国軍）、特殊戦司令部（陸軍）、UDT/SSU（海軍）、CCT/SART（空軍）、警察特攻隊、海警特攻隊がある。捜索隊、特攻隊、偵察隊、機動隊などは軍団や師団に編制された部隊だ。



特攻隊は敵陣に入り込んだり、後方に潜り込んだ敵軍を撃退する任務を引き受ける部隊です。韓国軍は特戦司の他にもそれぞれの軍司令部隸下に特攻旅団、それぞれの軍団隸下に特攻連隊が編制されています。

偵察隊は機械化歩兵師団の隸下で敵の陣営に潜り込む作戦、気象や地形などを利用する任務を引き受ける部隊です。

[img2]< 偵察隊 >[img2]

機動隊の任務は捜索隊と同じです。後方を引き受ける郷土師団で敵の特殊作戦部隊やゲリラを掃蕩することが任務ではありますが、訓練の強度などは捜索隊と同じでとてもつらいものです。特に、メイカー師団（※2）の捜索隊なら、聞いただけでも身震いするほどです。

※2：歴史と伝統を誇る陸軍部隊

志願兵で構成された特殊戦司令部とは異なり、捜索隊や機動隊は訓練所から支援を受けます。

訓練所で「軍生活を素敵に送りたい人、男らしくなりたい人」と男のプライドを刺激したり、「うちの幕舎にはエアコンもあるし、温水も毎日出る」と密かな自慢で勧誘したりもしますが、効果はあまりありません。

「お湯でシャワーができるからなんだ。次の日にはまた地面で転がるのに」

志願者がいなくても捜索隊の定員は集めなくてはいけないので、訓練兵の中から選ばなくてはいけません。

誰が選ばれるのでしょうか。

訓練を一生懸命に受ける人、訓練の成績が良い人、筋肉がモリモリで力が強く、よく走り、よく転がる軍人です。捜索隊の任務が捜索や偵察であるため、どうしても力が強くて素早い軍人がぴったりだからです。

おそらく、だから「軍隊では中間までだけをしろ」と言われるようです。

死ぬほどの力を尽くして頑張って訓練を受けてしまっては捜索隊や機動隊などの大変な補職に選ばれてしまう可能性が大きくなりますからね。

ただ、どうせ軍隊生活をするのなら、せっかくなら後悔せずに男らしくやろうと志願する人もいます。そのなかには有名な芸能人もいます。次回には陸軍捜索隊出身の芸能人を紹介します。

※この記事は「韓国陸軍捜索隊出身の芸能人を教えてください」へ続きます。