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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    兼床(取り膳)は韓国の伝統文化ですか?
  • A.
    新型コロナウイルス以後、兼床(キョムサン、取り膳)をする韓国の食文化が話題になっています。
    唾液でウイルスが伝染するのに、口に入ったスプーンでおかずやチゲを一緒に食べるのは危険だという指摘です。

    確かにそうですね。新型コロナウイルスが猛威を振るう前も韓国文化に慣れていない外国人たちは、スープを一緒に食べるのは気が進まない様子でした。

    兼床でも下の写真のようにチゲを各自違う器に入れて食べるなら何の問題もないはずですが、 水キムチは1つしかないので一緒に食べるしかありません。

    韓国の家庭や食堂に行くと、兼床はとても多いです。少し衛生的なところでは、チゲやスープ、煮物などを各自の取り皿に移して食べたりしますが、鍋の器にスプーンが3、4個入っている姿を見るのは難しくありません。韓国で兼床が登場したのは、それほど久しくありません。1930年代以降に登場したため100年足らずです。

    朝鮮時代までは個別型の配膳が普遍的でした。
    中国の吉林省にある高句麗の舞踊塚の壁画や朝鮮の風俗画に出てくる膳立てはすべて個別型で準備されていました。

    朝鮮時代にまで遡ると、韓国の伝統的な配膳は上の写真ではなく下の写真に変わるそうです。

    • 資料韓国日報(ゲティイメージバンク)



    上の写真を見ると、お盆におかずを入れた小さな器が見えます。ご飯と汁物、キムチを除いてもおかずの品数が9つもあるので金持ちの飯床(パンサン)*に違いないです。

    *ご飯と汁物、キムチの他におかずの種類によって三楪、五楪、七楪、九楪、十二楪飯床に分かれましたが、十二楪飯床は宮廷の食事上に限られ、民家では九楪に制限されました。

    その時代にも兼床が少しはあったでしょう**。いちいちおかずを移す取り皿がないとかそういう場合です。貧しい家では一食も食べられないのに、家族数によってお皿を買うのも大変だったはずです。

    **朝鮮の中宗(チュンジョン)時代、黄海道(ファンヘド)延安(ヨンアン)で父と兼床をして言い争いになり、ご飯茶碗を投げた息子が官庁に連れて行かれた記録があります。(金正國の警民篇)

    第2次世界大戦当時、真鍮の器に鉄製のスプーンまで戦争物資として奪われ食器も不足しました。食器が不足しているから仕方ないです。食膳に集まって、鍋や器に盛った食べ物を一緒に食べるしかありません。

    家族みんなで一緒に食べようという「個別型配膳廃止」キャンペーンも行われました。
    その後、朝鮮戦争を経て食器や食膳はもちろん、洋食も不足する時期が続いたため、兼床が韓国の固有文化のように定着しました。