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  • Q.
    元老俳優イ・スンジェの「パワハラ疑惑」について教えてください
  • A.
    イ・スンジェは本当に数少ない80代の元老俳優です。チェ・ブラムと共に後輩俳優たちから尊敬される人物でもあります.

    北朝鮮の咸境道(ハムギョンド)会寧(フェリョン)が故郷である彼は、ソウル大学哲学科を卒業した当時はもちろん、現代でも数少ないエリート俳優です。学生時代、演劇部に入ってから俳優の道に進んだと言いますが、デビュー以後、終始一貫した自己管理者の信念、そしてほとんど善役を演じたのでイメージが良いです。韓国で一番名門であるソウル大学出身という点も良いイメージを築くのに一役買ったでしょう。

    もちろん人気スターではありませんでした。デビューする頃にはシン・ソンイル、シン・ヨンギュン、ナム・グンウォンなど当代のトップスターの下で助演をつとめ、助演級でもハン・ジニ、ノ・ジュヒョン、パク・グンヒョン、イム・チェムなど錚々たる後輩たちと競争しなければなりませんでした。還暦を過ぎて出演したMBCのシチュエーション・コメディー『思いっきりハイキック!』(2006)で絶頂の人気を謳歌しました。当代のトップスターがみんな霧の中に姿を消しましたが、まだまだ活発に活動しているからです。

    彼が国会議員選挙で貫禄の政治家に勝って当選したのも、良いイメージのおかげでしょう。

    歳月に勝てず白髪交じりのおじいさんとかなりハンサムな若い頃のイ・スンジェの姿。

    今まではこれといった雑音1つない芸能界の大人、それがまさにイ・スンジェでした。

    正しいことを言うので、大衆の印象に残った言葉もかなり多いです。いくつか、例を挙げてみましょう。

    ―芸能人がいい番組に出会って有名になり、CMをたくさん撮影し儲けるスター、私はこのような人を「モデルスター」と呼ぶ。
    ―年を取ったからといって座り込んで大人のふりをして待遇を受けようとすると老けてしまう。
    ―ミートゥー運動を見て、自分を振り返るきっかけになった。教え子や部下を自分勝手にする対象ではなく、人格体と見て接しなければならない。
    ―芸能人の特権はどこにあるのか?特権意識は意識にかかっている。芸能人って人気が必要な職業だけど、最近勘違いする友達が多い。「私は芸能人だから、自由奔放に過ごしてはいけないのか?それが芸術だ」と冗談を言うが、そうしてはいけない。

    パワハラ疑惑は、イ・スンジェの人生に傷をつけてしまいました。

    パワハラ疑惑はSBSの報道から始まりました。
    ある元老俳優のマネージャーが、俳優家族の雑用まで引き受けて行う召し使いのような生活をしたという訴えが放送されたのです。 マネージャーとして働く2か月間、4大保険なしに月180万ウォンの基本給を受け取り、週当たり平均55時間働き、不当解雇されたという話でした。

    報道直後、イ・スンジェ側が記者会見を開くという意思を明らかにし、元老俳優がまさにイ・スンジェだという事実が確認されました。

    最近のような世の中で、2か月間でたった5日だけ休み、休日や追加勤務手当もなく、医療保険、雇用保険も無しで働く人がどこにいますか?

    俳優志望生だったから、そんな大変な仕事を選んだはずです。世の中の有名な先輩俳優の下で頑張っているうちに、いつかは自分にもそのような日が来るだろうと期待したはずです。しかし、自分は召し使いにしかなれないと知った途端、挫折したのかもしれません。それで放送に情報提供までしたのでしょう。

    イ・スンジェは妻の過ちを一部認めるが、論争があまりにも誇張されたという立場です。
    マネージャーを解雇したのも自分ではなく所属事務所だったという点も明確にしました.

    イ・スンジェの元マネジャーは「年老いた2人だけが生活していたため、助けが必要な部分があった。インターネット注文が全くできず、物を注文し、ミネラルウォーターのボトルや重い物は当然移した。自宅を行き来しながら、たまに分別収集を行ったこともある」と明らかにし、イ・スンジェは誰かを召し使いのように扱ったりする方ではないと主張しました。

    パワハラの情報を提供したマネジャーは「謝罪の一言で十分だったはずの問題を、元マネジャーまで巻き込んで自分を嘘つきにした」と非難しており、論争が長引く可能性もあります。

    20~30代の若者は議論に批判的な立場です。マネージャーに業務外の指示をしても、これを当たり前に考える態度と報酬のない追加勤務は受け入れがたいという主張です。

    買い物をしたりミネラルウォーターを移すことは本来の仕事ではないのに「それくらいはしてあげられるのではないか、なぜあなただけが騒ぎ立てるのか」ということは、既成世代の権威意識が表出されたと考えるのです。

    あるコミュニティーには「家族のように接すると言いながら、手当てはなぜ家族のように支給されないのか」という書き込みが掲載されました。
    若い世代は、イ・スンジェの有名な広告のコメントのように「聞かず問い詰めず」の指示にうんざりしているのかもしれません。

    議論になったイ・スンジェのパワハラは内容が簡単です。妻から家事を頼まれた、所属事務所が不当解雇した、追加・延長勤務に対する賃金を支払わなかった。事案の内容からすれば、所属事務所は賃金未払いや不当解雇で、労働基準法に違反した責任を負わなければならないでしょう。

    しかし、イ・スンジェに秘密で妻や会社がそのようなことを展開できると思いますか?
    この質問に対して、イ・スンジェの答えが必要ではあります。

    イ・スンジェのパワハラ疑惑がもしかしたら韓国社会の世代間葛藤の典型的な姿なのかもしれません。

    その位も我慢できなければ厳しい人生をどうやって生きていくのですか?
    いや、どうしてそれを私たちが我慢しなければなりませんか?