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「老女優のユン・ヨジョンです」


    「こんにちは。老女優のユン・ヨジョンです」。

    18日、Apple TV+(アップルTVプラス)の2回目の韓国ドラマ『Pachinko(パチンコ)』の記者懇談会が開かれた米国ロサンゼルスで、ユン・ヨジョン氏(75、写真)は自分を「老いた人」と何度となく語った。昨年、自分にアカデミーの女優助演賞の栄誉をもたらした映画『ミナリ』以後、1年ぶりに次期作に出演する彼女は、自分の年齢を隠す考えがなかったようだ。演技だけで56年の人生を送り、積もった顔のしわから白髪になった髪まで、時間の流れが生み出した外貌は彼女の姿勢まで余裕たっぷりにした。

    在米韓国人の作家イ・ミンジン氏の書いた同名の長編小説を原作とする今回のドラマは、1910年代から1980年代までの4代にわたる在日朝鮮人(ザイニチ)の一代記を描いた作品だ。実際の背景を土台にして、韓国と日本そして米国を行き来して逆境を勝ち抜いた移民者の生の記録を描く。歳月の流れを表現するために、ユン・ヨジョン氏を含む3人の俳優がソンジャ役を引き受ける。ユン・ヨジョン氏は夫と一緒に移住してから50年が過ぎた1989年の「老いた」ソンジャ役を演じた。

    前作に続いて移住女性の人生を表現したが、ユン・ヨジョン氏は二人の人物は全く違うと強調した。 「映画『ミナリ』ではスンジャだったし、今回の作ではソンジャなので名前は似ていますよね。米国移民の話であることも。とは言え、この女性の話はぜんぜん違う。時間も違うし、状況も違うでしょう。厳然と異なるキャラクターですよ」。

    続いて移民者の生を演技して、彼女が集中したことは実際の移民者らが処した当時の状況を想像することだった。

    「役割を引き受けて事前調査をたっぷりと行う俳優がいるけれど、私は違います。もちろん原作小説は全部読んでいます。人が逆境に陥った時は、自分が逆境の中にいることが判らないんですよ。私はそれを演じきることにのみ集中しました。しかし時間帯を行ったり来たりして回想することを見ている方々がすべて分かるかどうか心配です。それを少し乗り越えれば面白くなります」。

    ユン・ヨジョン氏は今回の作品を通じて、多くの人々が「ザイニチ」を振り返るきっかけになることを願っていた。

    「私たちはチェイルキョッポ(在日僑胞)と言うじゃないですか。最初はザイニチはひょっとして悪く言うことなのかと思って尋ねたんですよ。そうじゃないんですって。むしろ彼らはザイニチと呼ばれることに誇りを持っていました。韓半島が南北に分かれて、彼らはどちらからも受け入れられませんでした。その後に戦争まで起きたので、外国に住む同胞まで救済できなかったのでしょう。誰のせいでもありませんが、知れば知るほど胸が痛みました。ポン・ジュノ監督が障壁を1インチ越えれば多くの話をすることができると言ったように、(作品を見て)いっしょに話ができたらと思います」。

    彼女はドラマは自分が引き受けた老いたソンジャを中心に進行するのは。昨年のアカデミー女優助演賞の受賞と関連がないということを明らかにした。

    「原作小説も女性が老けていきながら、自分の人生を振り返るんです。ドラマを撮るときはアカデミー授賞式の前だったし。みんな私に関心のない時だったでしょう。そんなふうにコンテンツが展開するとは思わない…。わたしはそんなにバカではありませんよ」。

    オスカーの受賞以後は世界的な関心を受けているが、個人的な人生に変化はないと言う。

    「変わったことは一つもありません。同じ友達と遊んで、同じ家に住んでいます。賞を受ける瞬間には喜んでいました。とは言え、その賞はわたしを変化させることはありませんでした。感謝することは、いまこの歳で賞を受けたことでしょう。こんな歳に賞をとったら、心はふわふわと浮くでしょう。ほんとうに、自分の歳に感謝したことも初めてですよ。わたしはただわたしとして生きて、そして死ぬでしょうから」。

  • 毎日経済 | パク・テウィ記者 | 入力 2022-03-18 18:00:03