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フランスの経済学、なぜ強い…数学実力・歴史を重視する社会的雰囲気

19世紀のセイ・クールノーなどの伝統に、21世紀ティロール・ピケティーが栄光を再現 

    フランスの経済学が浮上している。トマ・ピケティ(Thomas Piketty)パリ経済学校教授の『21世紀の資本論』が、世界の経済学界と政治陣営に核爆弾級の衝撃波をもたらした。去る13日、スウェーデンのストックホルムのノーベル賞委員会は、ジャン・ティロール(Jean Tirole)トゥールーズ第1大学教授を今年のノーベル経済学賞単独受賞者として発表した。

    これまで主流経済学はケインズを前後に、英国と米国が両分して率いてきた。経済学が「社会科学の女王」という別称を得たことも、主流経済学の根が英米側に深く埋め込まれていることを示している。

    しかし、フランスにも歴史的に滔々とした経済の流れが流れている。先駆的寡占理論のクールノーモデルを開発したオーギュスタン・クールノー(Augustin Cournot)と、「供給が需要を創出する」というセイの法則を主張したジャン=バティスト・セイ(Jean B Say)が19世紀の代表的なフランスの経済学者だ。

    20世紀に入ってノーベル経済学賞を受賞したジェラール・ドブルー(Gerard Debreu)やモーリス・アレ(Maurice Allais)が広く知られたが、「資本蓄積と効率的な資源配分」という論文を書いたマクロ経済学者エドモン・マランヴォー(Edmond Malinvaud)も有名だ。

    「非主流の主流」という評価を受けるフランス経済学は、3つのキーワードでアイデンティティを表現できる。数学と歴史、そして資本主義に対する進歩的視角だ。

    「フランスの経済学者で数学のできない者はいない」という話が出るほど、フランスの数学の実力は堅い。その理由を「大学の上の大学」の グランゼコールを頂点とした、二分化された高等(大学)教育に求める者は多い。 グランゼコールの中でエンジニアの士官学校格である「エコール・ポリテクニーク」は数学を非常に重視し、数学界のノーベル賞「フィールズ」受賞者だけでなく、ジャン・ティロールのような数学の天才経済学者たちも多数輩出した。

    • < フランス経済学が急浮上している理由は >

    トゥールーズ大学で講義している成均館大学のチョン・ドシン経済学科教授は、「フランスでは、理系の学生であれば出世のために必ず数学ができなければという雰囲気が形成されている」とし、「ジャン・ティロールはグランゼコールでも卒業するときに主席を張るほど、数学の実力が優れた人物」だと説明した。

    数学という鋭利な剣を腰に帯びたフランス経済学徒たちはミクロやマクロを飛び越して、経済史にまい進するのが一般的だ。分析的な視点から新たなモデル開発にしばられる英米の学界とは異なり、フランスは総合的な視野で歴史的な流れを研究する学者が多い。

    国内1号のフランス国費留学生として、パリ大学で経済学博士号を得た韓国銀行のムン・ウシク金融通貨委員は、「米国は刃物で切るような分析的アプローチを重視する一方で、フランスは歴史を網羅する総合的な思考を重視する」とし、「歴史を貫通するピケティ式研究方法が典型的なフレンチスタイル」だと説明した。

    フランスは進歩主義的経済学の研究が真剣に行われるところだ。過去にわが国からフランス経済学を学びに行った多くの学者は、マルクス経済学を専攻した。フランスでは経済学者らが政治にも相当活発に参与している。フランス共産党の理論的基盤を、左派経済学者らが後押しする式だ。

    実際にピケティは、資本主義経済がなおざりにする分配の問題を集中的に研究した。彼は社会党の支持者として、オランド大統領の選挙運動にも深く関与していることが知られている。

    進歩と保守が現実の政治で分裂するように争い、学者らも左右を行き来しながら研究しつつ現実に参与する開放性がフランスの経済学の強さだという分析が出てくる理由だ。
  • 毎日経済_チョン・ボムヂュン記者/パク・ユンス記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2014-10-17 16:16:03