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[人物] 中卒の代表が作ったオレンジファクトリー、中国へ進出

    オレンジファクトリーのチョン・サンヨン代表(52)は、1979年に中学校を卒業する頃には崖っぷち人生に直面した。ソウル市の中浪川近くのパンジャチョン(板子村/バラック集落)に暮らすほど貧しかったうえに、この時期に両親さえも失い、生きる道は漠然とした。高校に進学する友人を羨ましそうな目で眺めながら、涙をぬぐう余裕もなく、すぐさま生業戦線に飛び込んだ。17歳から始めた社会生活は、手当たり次第に仕事をするほかなかった。住み込みの運転手、本売り、農薬工場の人夫、トラック助手、鍋売りなど、手を染めなかった仕事はない。

    一日も休まず、夜明けに起きて夜遅くまで5年余りを働きながら、少しずつ金をためて20代を迎えた。この時から「自分の仕事」をするべきだと思い、路上での服売りに乗り出した。問屋から品質のまともな服を別名「移民カバン」に入れて、ソウル市の汝矣島証券街で広げて売った。品質の良い服を最小マージンで正直に売ればきっと売れるだろうという彼の信念は、冷酷な世間でも通じた。数年のあいだ、暑い日も寒い日も問わず粘り強く集めた元手で、テントを張って物を売る「テンチョリ(在庫処理)企画展」を始めた。衣類の在庫品を現金で安く購入し、叩き売りする破格のイベントだった。

    無条件にマージンを10%以内にして売りながら貯めた金で事業を始め、2000年に今の「オレンジファクトリー(Orange Factory)」1号店をスタートさせた。現在、全国に69店(すべて直営)まで拡張した。アパレル業界の不況にもかかわらず、オレンジファクトリーの売上げは2012年の2100億ウォンから2013年に2250億ウォン、2014年には2380億ウォンに増え続けている。商品企画から生産・販売までを直接行い、生産コストを最大限に減らし、中間流通マージンをなくして、安く売っても利益を出すことができる構造として作った結果だ。

    ありとあらゆる苦労を経て会社を掘り起こしたせいで、チョン代表は石橋を何十回も叩きながら働くスタイルだ。だからチョン代表は、どんな投資提案も見向きもしない「単独経営」に専念した。1年ほど前に、ある中国の大型グループの関係者が直接韓国を訪問し、2兆ウォンの投資を提案したが、会いもせずに門前払いしたほどだ。

    しかし、中国側の求愛が始まって1年め、オレンジファクトリーは中国市場でも人気を集めるだろうという説得をまずは信じてみることにして、交渉に入った。パートナーはシンダ(信達)グループ。1兆3000億元、ウォンで225兆ウォンの資産を管理する、中国第2位の規模の会社だ。中国内に国家開発銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、交通銀行、上海銀行など、多数の金融機関を有している。

    信達グループがオレンジファクトリーに手を差し伸べた理由は、トラッド・クラブ(TRAD CLUB)、モドゥーズ・ビベンディ(Modus Vivendi)など、16の独自ブランドを保有している質の高い製品群と価格競争力、大規模な店舗運営(ERP)システムとノウハウが、中国のファッション流通市場で十分に通用すると判断したためだ。また、チョン代表のユニークな成功履歴と経営哲学も一役買った。

    • < 毎年成長しているオレンジファクトリー >

    チョン代表は「ポッタリ商(手売りの商人)」の頃から今まで、「ブランド服はあまりにも高価だ。私は金がない人でも良い服を着ることができるようにしてやりたい。だからオレンジファクトリーを作り、これらかもこのままでありたい」という所信を守ってきている点を、中国側が高く評価したわけだ。チョン代表がオレンジファクトリー店舗内のすべてのトイレに自分の携帯の電話番号を書いておき、顧客と直接コミュニケーションをとるという点、毎年の消防公務員50%割引イベントなど、多様な分かち合い活動を行うという点も目を引いた。交渉の録音記録によると、信達グループの関係者は「われわれはチョン代表にたいへん感動した」とし、「いま習近平政府が腐敗を清算して、庶民もよいことを享受できるようにしようという方針とぴったり合致したため、オレンジファクトリーをパートナーにしたかった、彼とともにならば(中国で)非常に良い結果を得るだろう」と語った。チョン代表は去る2月27日、北京で信達グループと最終契約を結んだ。今年、第1次として10億元(約1755億ウォン)を合弁法人の資本金として投資した。

    信達グループが造成する2兆ウォンは、オレンジファクトリーが中国市場に合わせたデザインを開発し、運営方式と商品(衣料)を中国に供給するところに使われる。今年の11月から2020年までに、韓国にあるオレンジファクトリー店を原型そのままで、中国に300店をオープンする。

    商標使用料として、中国内の売上げ(年5兆ウォン予想)の5%を受け取ることになる。チョン代表は、「国内衣料品の製造・販売代理店の衣料品・コンテンツ・プロセスを丸ごと輸出することはきわめてまれだ」と強調した。
  • 毎日経済_ミン・ソッキ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-04-07 17:07:20