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お酒の飲める書店…文化コンテンツプラットフォームになる

    「仕事帰りに買ってきた冷たいビールを飲みながら本を読むのが楽しみでした。私が好きで楽しむことのできる場所を作ってみようという考えから『お酒を飲む本屋』を開きました」

    ソウル・麻浦区上岩洞の路地には、ちょっと風変わりな町内の本屋さんがある。チメク(チキンとビール)ではないチェクメク(本とビール)ができる書店、韓国で初めてお酒を飲める本屋「ブック・バイ・ブック(book by book)」だ。顧客たちはサクサクの「生インスタントラーメン」をおつまみにして酒や読書を一緒に楽しむ。

    ポータル会社のダウムで働いていたブック・バイ・ブックのキム・ジンヤン代表(35・写真)は、2013年に安定した職場を辞めて町内に本屋を創業した。その理由を尋ねると、キム代表は「もっと遅れたら、できなそうだった」と話を切り出す。「創業と同業に関する本を書きながら20代のCEOにたくさん会いました。その方々から多くのエネルギーをもらい、その経験が創業の動機になったんだと思います。また、職場生活をしてみると、私は組織の中で成果を出して認められるよりも『自分の仕事』に引かれる性向だということを知りました」

    昨年6月には、7坪の1号店の近くに17坪の店舗をもう一つ出した。1号店は小説店、新たに出した店はノンフィクションを中心とする本店だ。キム代表と同じ会社で11年間働いていたお姉さんのキム・ジナ氏(39)も参加した。

    キム代表は「本屋さんの店主」というロマンだけを持って創業に挑戦したわけではない。彼女がオフライン書店を準備しながら最初にしたことは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じたオンラインマーケティングだった。「上岩ホリック」という名前で、フェイスブックやツイッター、ブログを開始した。グルメなどを紹介するコンテンツが蓄積され、口コミが広がった。

    「ポータルの会社で働きながら生活に関するコンテンツがどれほど反応がいいか知っていました。オンライン上でストーリーを作りながら、オフライン空間との接点を作るのです。おいしい店がどこか聞くために、本屋にいらっしゃる方もいらっしゃいました」

    ストーリーを作る作業は、今も進行中だ。著者の講演、ジャズピアニストの公演、ドローイング授業…。書店の前に置かれた黒板には、今月の各種イベントがぎっしり書かれていた。キム代表は「一冊の本を販売するのではなく本というコンテンツに何をプラスして見ることができるか、派生させることができるかを悩んだ末に始めた」と付け加えた。

    ブック・バイ・ブックには、「本のしっぽ」と「本棚のしっぽ」がある。本のしっぽはおすすめの書評だ。手で丁寧に書かれた推薦評をコーティングして陳列しておいた。本棚のしっぽは書棚陳列のカテゴリーだ。小さな書店特有のディテールと個性のあるスタイルで飾った。「グリーンライトですか?」の本棚には恋愛書籍を陳列して、「散歩に行こう、ランラン~」には、旅行関連の本を陳列している。SNSの「いいね!」とポータルサイトのキュレーション(curation)サービスをオフライン・アナログ的に再解釈したわけだ。

    また、キム代表は、シリコンバレーのベンチャー創業の方法論である「リーン・スタートアップ」(Lean Startup)を積極的に活用した。顧客からのフィードバックを積極的に受け入れて商品を継続的に改善するリーン・スタートアップ方式を従来の町内の本屋に適用したものだ。キム代表は「創業当初は、顧客の一人一人が反応で、チャンスだ。書店を開いてから3ヶ月の間は、ほぼ毎日構造やインテリア、メニューなどを変えた」とした。

    キム代表に読んでみる価値のある本を推薦してくれと頼んだ。彼女がためらうことなく推薦した本は、『ライフスタイルを売る』(ベガブックス)だ。日本のルチュア・コンビニエンス・クラブのCEOである増田宗昭が書いた本で、町内の本屋に過ぎなかった「TSUTAYA」を加盟店1394店、年間売上高1兆8000億ウォンに育てた彼の経営哲学を込めた。TSUTAYAの過去からブック・バイ・ブックの未来を読み取ったキム代表の「町内の本屋の無限に挑戦」は現在進行形だ。
  • 毎日経済_ホン・ソンユン記者/写真=イ・チュンウ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-04-12 20:48:12