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[社説] サムスン医療院はそれでも傲慢に振舞うのか

  • 韓国で最高の位置にいるサムスンの体面がとんでもないことになっている。今まで韓国人はサムスンの後継者の継承過程や、非上場会社を上場させながら2世が巨大な利権を掴む過程に怒りを感じながらも、サムスンの製品が信頼できるということには異議を提起しなかった。

    法の上に君臨するような感じさえ与えながらも、製品やサービスに対するこのような信頼がサムスンが韓国を象徴する企業として君臨した土台となったのだろう。サムスンが作った医療機関であるサムスン医療院も同じだ。

    サムスン医療院が設立された後、韓国の医療産業は一段階成長したという評価を聞く。少なくともサービス面では、従来とは明らかに違う姿を見せた。市場(いちば)を彷彿とさせていた病院の霊安室はサムスン医療院の葬儀サービスをきっかけに、より成熟した姿に変貌した。

    そのサムスン医療院が中東呼吸器症候群(MERS / マーズ)の2次感染の温床になった。サムスンの実力ならと、政府機関よりも信じていた患者と消費者、そして国民を失望させた。サムスンを信じて任せた防疫当局も一歩遅れて、サムスン医療院を閉鎖する措置を下し、サムスン医療院に行ってきた患者と家族、面会者を手配するのに大騒ぎだ。

    無能な政府がしっかりとした危機管理マニュアルも作成できないうえ、作ったマニュアルさえも適切に実行できないせいで韓国をマーズの温床にしたのなら、サムスン医療院の防疫失敗は己惚れが読んだ惨劇だ。

    ただし、公式声明はなかったものの、サムスン社長団は国民に頭を下げたし、サムスン医療院の院長は大統領に叱責を受けて頭を下げた。もちろん、サムスン医療院長が謝罪をする対象は、大統領ではなく国民ではあるが、誰の前であれ、謝罪をしなければならない立場であることには違いない。

    巷では医療院の謝罪を受ける大統領の姿を見て、謝罪をしなければならない当事者が謝罪を受ける姿が醜いと非難する声が高いが、この程度までなら了承できないものではない。大統領をはじめとする政府閣僚や担当公務員の謝罪と文責はマーズ事態が鎮まってからでも遅くないわけで、すぐに必要なわけでもない。

    問題は、謝罪を受けた後、サムスン医療院に遠隔診療を許可した政府の措置から浮上した。政府は、サムスン医療院で治療を受けていた外来患者の遠隔診療を可能にするという指示を医療界に伝達した。病院の閉鎖により患者を受け付けることができなくなったサムスン医療院が遠隔診療を通じて患者を診療して、処方箋を発行できるようにした措置だ。

    危機的状況で下した一時的な措置とはいえ、サムスン医療院に対する政府の措置は、特恵という非難から自由になれない。サムスン医療院より前に自主的に閉鎖した東灘聖心病院に対しては一言もなかった政府が、サムスン医療院の遠隔診療要求を受け入れたのは納得し難い。

    地方の中小病院とサムスン医療院が担当する患者の数や、医療スタッフのレベル、一貫性のある患者の治療などを勘案しても、今回の措置は、公平性を無視したという非難から逃れることができない。

    さらに、利益団体である大韓医者協会をはじめとする各種団体とは一切の協議なしに一方的に決定、通知する形式で進めて反対意見を述べる機会すら与えなかった。

    マーズ事態で、ファン・ギョアン(黃教安)首相の任命同意案がいろいろな種類のスキャンダルにもかかわらず、国会を通過した。国がマーズの渦中にいる局面で、一介の首相の問題でもめている姿を見せることができなかった野党が一歩退いたおかげだ。

    マーズ事態で全国民が不安に震え、生計の心配をしている中で、この機会を危機脱出の手段にしようとするのでは本当に困る。サムスンが国民に心から謝罪をするなら、今からでも自ら遠隔診療を放棄するのが正しい。

    万が一、患者の治療が心配な場合は、患者が通えるほかの病院の医療スタッフに、これまでの治療過程を説明して、助ける姿勢が美しくはないか。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2015-06-21 09:00:00