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[SNSの世界] 盗作疑惑、SNSに乗って一波万波

    有名な小説家の申京淑(シン・ギョンスク)氏の盗作疑惑がソーシャルネットワークサービス(SNS)を熱く盛り上げている。海外でも認められている作家の作品が完全な彼女の創作ではないという指摘に対して、読者らは失望と混乱に陥った。シン氏の作品を出版した創作と批評社(以下、創批)のオンラインサイトやFacebookなどのSNS上では、これに対する批判の書き込みが殺到した。

    事件の発端は去る16日、イ・ウンジュン作家がシン氏の短編集『ずっと前に家を出た時』(1996)に収録されている短編小説『伝説』と、『金閣寺』で有名な日本の三島由紀夫作家の作品 『憂国』中の表現を並べて掲載して指摘した寄稿文だった。原文ではなく、韓国語に翻訳された文体とシン氏の文章が驚くほど似ていた。

    創批は、直ちに「三島氏の作品とシン氏の作品の一部描写が似ている可能性はあるが、全体の文脈上では大きく異なる作品」という釈明を出した。当事者であるシン氏も「このような騒ぎが起き、読者の方々に申し訳なく、心が痛い」とし「真実かどうかにかかわらず、このようなことは作家にとって傷だけが残るものなので、対応しない」との立場を表明した。

    しかし、こうした釈明と立場表明がSNS上でさらに激しい論難を巻き起こした。「作品を丸ごとコピーしなければ盗作なのか」「21世紀を代表する韓国作家が、私を信じてほしいという説明をするだけとは驚きだ」というのが大方の反応だ。

    さらに、2000年代初頭に文芸誌と日刊紙を通じて提起されたシン氏の昔の盗作問題が再び俎上に載せられ、大衆は彼女に背を向けている。SNS上ではシン氏の作品をボイコット(不買)しようとしう批判が列をなす。特にシン氏が盗作疑惑に対する論点を濁して「私の読者」にだけ訴える点について、「成熟していない反応」だという糾弾もされている。世論裁判でシン氏に「有罪」が宣告されたわけだ。SNSの波及力は手に負えない。共有のツールがなかった過去15年前には、盗作疑惑は文壇界のイシューにとどまった。しかし、SNSは作家が築いてきた名声を一発で壊してしまうほどの強力な力を発揮する。シン氏は昔であれ今であれ、有名な作家であることには変わりがないが、世の中が変わった。

    盗作は創作者にとって最も大きな倫理的な犯罪とみなされている。執筆当時の作家の真実性まで疑わせるからだ。特に記録が残る文章の盗作論議がSNSに乗って公開的な叱責を受ける今、「対応しない」という作家の最初の立場を固守することが賢明ではないのかもしれない。いまだにシン氏の熱血読者は、特有の美文、優れた作品を出したこれまでの成果を無かったものにしないでほしいという意見を表明しているからだ。

    大衆だけが声を出しているのではない。創批の従業員という匿名のアカウントからは「来年は創批がこの世に出てから50周年になる年です。『新たな創批の姿勢』のためにあちこちで、従業員が懸命に働いています。しかし、会社がシン・ギョンスク作家の盗作疑惑と関連して、当初の立場を撤回しない場合、すべて無駄なことになります」「同僚が『創批(創作と批評)』ではなく、『猖披(恥ずかしい)』と呼ばれる電話を受けたそうです」などの書き込みが投稿されたりもした。

    「おそらくシン・ギョンスク作家が頼っていた読者は、自分を育ててくれた文壇やメディアだ。ある新聞の紙面で盗作攻防が寂しく行われている間、他の新聞社と文壇は対岸の火事のことのように傍観したのは、私たち文学界が盗作行為にどれほど寛大なのかを、文化商品としての競争力を備えた作家をどれほど配慮しようと努力しているのかをよく示している。シン・ギョンスク作家が本当に濡れ衣を着せられているのであれば、文壇が彼女の名誉回復のためにも盗作疑惑の解明に乗り出すことが、当然の道理だ」

    評論家チョン・ムンスン氏は、2000年に文芸中央の秋号に申京淑(シン・ギョンスク)作家の短編小説『伝説』が、三島由紀夫作家の『憂国』を盗作したという疑惑を提起する文を載せた。しかし、当時シン・ギョンスク作家を含め、どの評論家、文芸誌もチョン・ムンスン氏の文について公式的な反論をしなかった。しかし、15年が過ぎた後、SNSに乗って、その力を発揮している。
  • 毎日経済_モバイル部=イ・ギョンジン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-19 16:09:14