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[SNSの世界] デート暴力に染まったSNS空間

    韓国でソーシャルネットワークサービス(SNS)の空間が「デート暴力」論議で連日熱く盛り上がっている。一つのハプニングで終わるところだったデート暴行事件がSNSを介して社会問題として大きな関心を集めるようになった。日陰の領域にとどまっていたデート暴力が社会問題として顕在化したことには、SNSの力が大きく作用した。これまで、ポータルサイトが運営する公開掲示板などを介して行われていた、このような暴露がSNS空間に完全に移行してきたわけだ。

    この騒動の始まりは、コラムニストのハン・ユンヒョンさんから始まった。前の恋人だと明らかにした一人の女性がブログやフェイスブックを介して、過去のデート中に暴行を受けたという事実を告白したのだ。投稿された内容によると、ハンさんは、その女性を「殴打誘発者」と呼び、強圧的に暴行を加えた。この記事はフェイスブック、ツイッター、カカオストーリーなど、さまざまなSNSプラットフォームを介して一瞬のうちにして広がった。ハンさんは、自分のSNSのアカウントを使用して、すぐに謝罪をするなど、収拾に乗り出したが、すでにときは遅かった。

    ハンさんから始まったデート暴力の騒動は一波が万波を呼び、拡散する様相を見せた。日陰に隠れていた被害女性たちが勇気を出して1人、2人と声を出し始めたのだ。覆い隠すばかりだったデート暴力の実体が一つ、二つと明らかになった。「イルベの思想」著者である進歩論客パク・ウォンイク氏を暴露する書き込みが20日に投稿された。昔の恋人だという女性が書いた書き込みには、2012年の交際当時、彼が罵りながら物を投げるなどの暴力を振るったという内容が書かれていた。

    有名なウェプトゥーン作家のカン・ドハさんに酒の席でセクハラを受けた被害者の書き込みもSNSに投稿され、騒動が続いた。カン作家もツイッターなどを通じて謝罪文を投稿した。他にもデート暴力を受けたという一般人の情報提供が続けざまに投稿され、デート暴力の問題が深刻な社会的問題として浮上した。

    これらの騒動に対するネットユーザーと一般市民の反応も熱い。フェイスブックを介してこの内容に接した会社員のソン・スインさんは「恋人同士のデート暴力がこれほど発生しているという事実をSNSがなかったら、正しく認知できなかっただろう」とし「大切にして貴く思うべき恋人に暴力を行使することは、どのような場合でも許されない行動」と述べた。

    実際にデート暴力は深刻な水準にある。パク・ナムチュン新政治民主連合議員は、過去5年間に恋人から暴行や性的暴行などを受けた人は3万6362人で、一日平均約20人の割合でデート暴力に苦しんでいると明らかにした。5年間に恋人の暴行などで命を失った人が、290人に達した。パク議員は「親密な関係により隠されたり、縮小される場合が多く、暴力の露出後も関係が持続する場合が多いため、社会的な関心がより一層必要だ」と説明した。

    専門家はこのように、フェイスブックやツイッターなどのSNSが数年間我慢してきデート暴力告発の場となった理由として、コミュニケーションの力を持つSNS空間の特殊性を指摘する。

    知人と楽に会話をするように、自分の悩みを打ち明けることにより、心の癒しを得たり、または心理的な負担感を軽減することができるというものだ。直接会って相談をして心の負担を減らし、自然な独白のように自分の話をすることができるのがSNS空間の力だ。

    ソウル大学のクァク・グムジュ心理学教授は「女性は、特に対話を通じて自分の話をすることで、カタルシスを感じたり、心の安定を感じることができるという点から、女性被害者の告白は暴露というよりは訴えに近い」とし「ただ、深刻なレベルで発生しているデート暴行は、この程度で癒されたり、解決することはできないため、現実的な代案を用意しなければならない」と述べた。
  • 毎日経済 チュ・ドンフン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-26 16:10:31