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[コラム] 財閥グループの兄弟争いの裏面には「経営権プレミアム」

レイクサイドゴルフ場、兄弟間の争いの末に最終的に他人の手に渡る 

    ロッテグループの兄弟間の経営権紛争を見ていると、レイクサイドゴルフクラブが思い浮かぶ。

    ソウル近郊にある最大のゴルフ場であるレイクサイドも兄弟間の紛争の末、最終的に亡父が残してくれたゴルフ場が他人の手に渡ってしまった。

    ロッテグループの兄弟の乱は、シン・ドンビン会長システム以降、経営から疎外された兄弟姉妹が意気投合して起こしたということが定説とされている。レイクサイドも似たような前轍を踏んだ。もちろん、企業の規模の面から両者を比較するのは難しいが、レイクサイドは家族経営の会社であるため、株式を持っている人も極めて限定的だった。

    レイクサイドゴルフクラブを創業した故ユン・イクソン氏は6人兄弟に株式を配った。早くに亡くなった長男の代わりに次男が最も多い36.5%の株式を譲り受け、ソウルに住む兄弟姉妹2人と一番上の嫁が14.5%ずつ受け継いだ。日本に住んでいる二人の子供は10%ずつを受け取った。

    次男はゴルフ場を経営しながら人生を楽しんだが、残りの兄弟たちはうわべだけゴルフ場の大株主と呼ばれるだけだった。経営が上手くいかないと配当をしてもらえないため、株式がもたらす金銭的な利益が皆無で、ゴルフ場の従業員でさえ、家族をないがしろにするほどだったと伝えられる。

    継承株式と関連する限りない訴訟の末、次男は韓国に住んでいる兄弟たちに3%ずつ9%を譲渡した。株式を譲り受け50%以上の持分を確保した兄弟たちは、ゴルフ場経営の席から次男を引き摺り下ろした。目に余るようなケンカがあった後、次男と日本に居住する子供たちは、自分たちの株式をプライベート・エクイティに渡した。持っていてもあまり金にならない株式を高く売ったほうが、彼らにとってメリットがあると判断したのだろう。

    以降、レイクサイドは兄弟とプライベート・エクイティ間の経営権争いによる長い争いを繰り広げることになる。兄弟たちが団結してプライベート・エクイティとの戦いで勝った後、経営を引き受けた末っ子はゴルフ​​場の残りの敷地を開発し、複合レジャー団地として開発するという長期的なプランを立てることに没頭したが、今度は一番上の嫁が反旗を翻した。

    長男の嫁はプライベート・エクイティと手を握って経営権を掌握しようとしたが、法廷攻防の末、末っ子が再び経営を引き受けた。借金をして配当をしながら、兄弟たちをなだめたがゴルフ場経営に問題が生じる境遇に置かれることとなった。配当を無制限に行うことも難しかった。

    さらに、争いにより兄弟間に広がった溝は埋められないほど深くなった。亡父が残してくれた遺産を捨てないようにしようと誓った兄弟たちだったが、私募ファンドのゴルフ場の売却圧力に屈して、最終的にはサムスングループが新しい所有者となった。

    ロッテグループの兄弟の乱はこのような前轍を踏むはずはないだろう。経営権紛争が起こったことに便乗して利益を得ようと襲い掛かる第3の勢力があるわけもない。しかし、このような争いがある裏面には経営権プレミアムが隠されているのはそっくりだ。

    ゴルフ場の社長になると、報酬という金銭的な利点のほかに、社会的地位に応じた有・無形のメリットがついてくる。財閥グループのトップに与えられる利点は、確認するまでもないほど巨大だ。

    泥沼の戦いの背景には、非常に少ない持分でも韓国10大グループを支配することができるためだ。ロッテグループは6月末基準で辛格浩(シン・ギョクホ)会長の持分が0.05%あるだけだ。一家の持分をすべて合わせても2.4%にとどまっている。トップとなればこの持分でも巨大企業を経営することができるが、経営の一線から外されると自分の手元に残った株式分だけの利益が精々だ。

    富豪兄弟の恥ずかしい戦いを防ぐためには、経営継承過程や株主との利害関係者の牽制など、制度的装置が必要だという指摘が出てくるのも同じ理由からだ。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2015-08-02 09:00:00