記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > 総合

[筆洞情談] 開城工業団地の共同ブランド「シスブロ」

    開城工業団地が閉鎖され、開城工業団地の共同ブランドである「シスブロ」も存廃の岐路に置かれた。2014年4月に発足したシスブロ(SISBRO)は、南北の兄弟姉妹たちが作る製品という意味でシスター(sister)とブラザー(brother)を合成して作られた。

    入居企業が共同ブランドを作ることにしたのは2013年、北朝鮮が5カ月以上労働者を撤収させながら、開城工業団地の稼動が中断された事件が起爆剤となった。ブランドを持っていれば、緊急事態に備えることができるという判断だった。約6カ月の準備を経て、ナインをはじめ、10社以上の企業が参加する開城工業団地初の共同ブランドはこうして誕生した。

    シスブロは、品質は良く価格は安いという点を掲げて速い速度で認知度を高めていった。2014年7月、ホームショッピングで販売を始めたときには一部項目が完売する気炎を吐き、フランシスコ法王が韓国を訪問した際には奉仕団の服を製作しながら注目を集めた。アジア大会の北朝鮮応援団の服にも選ばれた。

    シスブロ発足を主導したナインのイ・ヒゴン代表は当時「開城工業団地入居企業が自社ブランドで成功する初の事例になるだろう」と自信を表明した。

    韓中自由貿易協定(FTA)により、開城工業団地で作られた製品が「メイド・イン・コリア」として扱われると、弾みがつくという期待感はさらに高まった。取り扱い品目を衣類から、化粧品、靴などへ拡大し、昨年5月には、中国市場攻略のために投資会社と業務協約を締結した。京畿道高陽市のキンテックスで常設展示・売り場を設け、京畿道と協力して坡州に南北物流総合テーマパークを造成する事業も推進した。

    しかし、10日、政府が開城工業団地の全面中断を発表して、続いて北朝鮮も韓国側の関係者追放と工業団地の閉鎖措置を行い「シスブロ」の将来が不透明になった。イ・ヒゴン代表は「入居企業は、各自が自己救済策を設けるために東奔西走している」とし「工業団地閉鎖後、むしろ販売がさらに増えており、どのような方法であれ『シスブロ』というブランドを生かすために努力する」と述べた。彼は「現在生産ができず、在庫もほとんど開城工業団地に置いてきたので、販売量はすぐに底をつく」とし「春と夏の商売はあきらめるしかないのが実情だ」と訴えた。

    シスブロブランドを生かす道は企業が一日も早く生産基盤を確保することだ。しかしながら、開城工業団地のような立地と品質、価格を合わせることができるところは、ごく限られている。苦労して定着させた開城工業団地の共同ブランド「シスブロ」が歴史の裏側へと消えないように、政府と取引先、消費者の関心と支援が切実だ。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-02-22 17:39:46