記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > オピニオン

[筆洞情談] それいけ!Kビューティー

    1930年代の韓国の女性たちがおしゃれをするために最も欲しがっていた製品は、ヘアーオイルだった。梳き櫛にヘアーオイルを塗り、まっすぐに分け目を作りツヤを出した髪は、美しさの象徴だった。故ソ・ソンファン(徐成煥)アモーレパシフィック会長の母であるユン・ドクチョン夫人がツバキ油を絞って売るようになったのも、そのような要求に応答したものだ。ツバキ油から始まった化粧品の歴史は、初のブランド化粧品 「メロディクリーム」(1948年)、戦争の渦中に作った「ABCポマード」(1951年)などを経て、今のKビューティーブームにつながった。80年の滔々と流れる歴史を見ると、Kビューティーがグローバル盟主になったことが、ある日突然落ちてきた成功ではないというわけだ。

    韓国の女性たちが化粧術に優れていることは既に知られている事実だが、ファッションと美容に投資する男性のグルーミング族(ファッションと美容に惜しみなくお金を使う男性)が登場し、男性市場も拡大傾向にある。経済的に豊かではなかった1960~1970年代に男性用ポマードが旋風的な人気を集めたのを見れば、人類初の化粧は女性ではなく男性から始まったという説が正しいかもしれない。

    昨年、国内化粧品の総生産実績が史上初めて10兆ウォンを突破したという。前年比で19.6%増加した。輸出額は2兆9280億ウォンで、なんと43.8%急増し、貿易黒字も1兆ウォンを超えた。造船、油化、鉄鋼などのこれまで韓国の輸出の支えになった重厚長大な産業が成長動力を失い、蹌踉たる状況で化粧品だけが独走しているということだ。中国人観光客が韓国の化粧品を一掃するために押し寄せて来るほど、中国人の好みに合わせて成功した。

    Kビューティーの成功の秘訣は、まさに創造と革新にある。目・唇の化粧などの色調化粧品の強者が欧州ならば、韓国はBBクリーム、マスクパックなどの世界になかった製品を作り出し、それを大勢にした。ファンデーションを革新した「クッション」は全世界で1.2秒に1個売れており、海外ブランドも技術伝授を通して製品を出したほどの大ヒットを起こした。

    化粧品が輸出親孝行産業、将来の食べていく道として地位を固めたのは正しい。ただし、輸出額が中国(41.1%)、香港(24.8%)などの中華圏に集中しているのは解決すべき課題だ。韓国の化粧品がKビューティーという名前まで得られたことは、中華圏を掌握した韓流の影響が大きかった。韓流に頼らず、Kビューティーが真のグローバル強者になろうとするなら、中国への依存度を下げ、米国、欧州などの世界市場の攻略に積極的に取り組まなければならない。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-06-12 08:34:31