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[筆洞情談] マンドゥギシリーズ

    「マンドゥギシリーズ」という寒いギャグが1990年代半ばに流行した。チェ・ブラム、沙悟淨、スズメシリーズとは異なり、「マンドゥギ」という出所不明の主人公が登場した。幽霊が執拗にマンドゥギを付きまとって、時には苦しめ、時には反撃されるという話だ。

    このようにだ。「ある日、マンドゥギがお腹がすいて冷蔵庫のドアを開けた。食べるものがなくてがっかりした瞬間、幽霊がマンドゥギを呼んだ。マンドゥギ〜マンドゥギ〜。癇癪を起こしたマンドゥギは、情け容赦なく幽霊を冷蔵庫に入れてドアを閉めてしまった。その事実を忘れてマンドゥギが、翌日に水を飲もうと冷蔵庫のドアを開けると、幽霊が言う言葉。マンドゥギ〜私は今震えているのか」

    マンドゥギシリーズは1996年、人々に最も広く知られたユーモアに選ばれた。「マンドゥギシリーズ」という冊子はもちろん「マンドゥギマニアブック」が出版された。マンドゥギと幽霊の気の利いた会話を通して、物理理論を説明していく「マンドゥギの物理幽霊追跡」も出版されるほどだった。このユーモアが流行した原因については、分析が多様だった。その当時、幽霊体験談や恐怖体験が流行したが、そのような世相を反映したという分析もあり、何かに追われるように切迫して生きていく現代人を風刺したという分析もある。

    マンドゥギシリーズが大流行していた当時、「マンドゥギ悲劇」も始まった。知的障害者であるコ某氏は、忠清北道の家で28歳になった1997年に行方不明になった。それからは畜産農家で名前さえ忘れた状態で「マンドゥギ」と呼ばれ、19年間つらい労働に苦しめられた。1日中牛糞の掃除をし、 手押し車を引くために手のひらはタコでいっぱいになり、両手の爪は擦り減ってなくなった。コ氏の故郷の実家と奴隷生活をしてきた畜産農家は、車でわずか20分の距離だったというから、全く残酷な隣人だ。

    2014年には塩田奴隷事件が公憤を呼んだ。障害者を誘引・監禁した塩田事業者が彼らを奴隷のように働かせ、摘発された出来事だ。まさに障害者を縛りつけ、苦しめた残酷な幽霊だ。第2、第3のマンドゥギがどれだけまだいるか分からないのに、いざ私たちの社会にはブレーキがない。塩田奴隷の被害者が63人に達したが、加害者は半分以上が執行猶予判決を受けた。2010年代半ばのこの残酷なマンドゥギシリーズは、袖手傍観する「隣人の幽霊」と無責任な「判事の幽霊」が一緒に作っている。
  • 毎日経済 チェ・ギョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-07-23 09:27:38