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[筆洞情談] シルバータクシードライバー

    知人のAさんが最近、タクシーに乗り経験した不合理なストーリーを1つ。タクシーに乗るやいなや疲れていたのか首を揉んでいた60代半ばから後半の白髪混じりの運転手が、変わった経路で走り続けた。心配になったAさんが尋ねた。

    Aさん:「運転手さん、この方向に車を走らせたら目的地までどうやって行かれるつもりですか」

    運転手:「私がうとうとと居眠りをして、あそこで出なくてはいけないのに出られませんでした」

    後ろに乗っていたAさんは、気絶するところだった。しかし、年配の方であるため怒る事もできず恐怖に震えながら、ようやく降りたという。この程度のエピソードは、かわいい(?)レベルで、高齢の運転手が運転するタクシーに乗り、約束の時間に遅れたり、事故に遭った人も少なくない。

    高齢者がみな運転が未熟だということではないが、身体・認知能力の低下で突発的状況に対する対処能力が落ちることは事実だ。昨年、65歳以上の高齢者が起こした交通事故は2万3063件で、4年前(1万3596件)と比較すると69.6%増加した。こうみるとタクシーに乗る時、高齢の運転者を掴まえないことを祈るという人もいる。しかし、すでに60歳以上のタクシー運転手は47.1%で半分に迫っており、選択の余地があまりない。65歳以上も22.4%に達している。

    警察庁が去る17日、75歳以上の運転者の免許更新と適性検査周期を、現在の5年から3年に短縮し、交通安全教育を義務化する方案を推進することにした。70歳以上で推進しようとしたが75歳に対象を緩和したにもかかわらず、高齢者団体らは過度の措置だと反発している。「年齢が高くても運転できる人が多い」とし、高齢者差別だとあれこれいう主張もある。しかし、これは安全の問題であるだけで「差別」フレームに接近してもらっては困る。

    イギリスは70歳から3年ごとに運転免許を更新するようにしており、日本でも71歳からは更新周期が3年だ。何よりも、今回の高齢者の運転免許証の管理強化でタクシー運転手などの事業用車両が丸っきり除外されたのには納得がいかない。法改正で今年から65歳以上の高齢バス運転手は、69歳までは3年ごと、70歳以上は毎年、資格維持検査を義務的に受けなければならなくなったが、タクシー運転手は強く反発して除外された。生計のためにタクシーの運転席から離れられないという言葉を理解できないことはない。20~30年の無事故経歴も認める。しかし、タクシーに乗りながら毎回気を揉まなければならない顧客のことを考えれば、資格維持検査を徹底的に受け、有能な「シルバードライバー」として生まれ変わるのが正しい。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-08-20 09:33:18