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[I ♥ 建築] 板の間と庭

    韓屋に入ると部屋は小さくとも小さいと感じさせず、気持ちが穏やかになる。

    いくつかの理由があるだろうが、ここでは「床と庭」に関連した理由を見てみよう。韓屋の空間構造の特徴は庭、裏庭、板の間、縁側といった空いた空間が部屋と部屋の間に置かれているという点だ。これが韓屋を特別にする本質だ。朝鮮時代には大家族でいくつかの世代が集まって暮らした。一見してみれば、互いの生活にとても干渉しながら暮らすようであるが、実際には韓屋は空間構造が個人主義を認めてくれる構造だ。

    韓屋は母屋と舍廊(主人が生活する居間)の間に庭があり、奥の間(女性が暮らす部屋)と居間と向かい合った部屋の間に板の間があり、部屋と庭の間に縁側がある。さらに塀と母屋の間に裏庭もある。このように韓屋では空いた空間により部屋と部屋の間を作って各自の生活を尊重してくれた。このように、各種庭と床の真には日差しと風が入り、建築空間と自然が疎通する。日差しの当たる庭は建築物が自然を抱いている姿であり、板の間は自然と人間が作る建築空間を貫通する姿だ。軒下の縁側は靴を履かずとも自然と出会うことができる中間地帯だ。このように韓屋は人と人の間、人と自然の間を繋げる中間空間が多い家だ。

    韓屋では部屋と部屋の間に空き空間の庭があり、この空間に向かって窓が作られている。そのため互いの間で距離を置き、窓を開いて見つめることができる。これが昔の人々が他人の私生活を尊重する方式だった。韓屋の空間構造には適切な疎通と分離がある。現在我々はアパート(マンション)で部屋と部屋間の私生活尊重は壁で分けている。これは疎通はなく、分離だけがある構造だ。アパートでは自然を出て接する庭もバルコニーもなく、小さな窓で見つめるだけだ。

    我々が韓屋の価値を知り、伝授して発展させねばならないとすれば、韓屋の材料や外観を真似ることよりも、空間構造から教訓を得ねばならない。そうしてこそ現在の高密化した都市社会でも適応が可能だ。

    なぜならば、現在のこの時代に韓屋と同じ密度で平屋建ての瓦葺きを建てて暮らすとなれば、全国土に農業をする土地が残らないためだ。
  • 毎日経済_ユ・ヒョンジュン弘益大建築学科教授 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-10-03 06:09:22