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[筆洞情談] ハッシュタグの力

    今月初めからソーシャルネットワークサービス(SNS)の掲示物に「#ところでチェ・スンシルは?」というフレーズが相次いでつけられ始めた。出発はある放送局のPDが、「すべてのポスティングの最後に、このフレーズをつけよう」という「ハッシュタグ付け運動」を提案してからだ。チェ・スンシルとは何の関係もない「食べて、飲んで、遊んだ」というポスティングの最後にもこのフレーズをつけ、チェ・スンシル疑惑が他のイシューに埋もれてしまわないように、想起しようという意図だった。風刺、嘲笑、抵抗のオンライン式手段であるハッシュタグにネチズンたちの呼応は熱かった。チェ・スンシルの行方が分からなくなり、第2弾として登場したのは「#出てこい_チェ・スンシル」というハッシュタグだ。このフレーズは、ソウル100カ所余りに垂れ幕としてかかり、オフラインにまで拡張した。「#そしてウ・ビョンウは?」「#さらにチャ・ウンテクは?」のような応用バージョンも出現した。

    ハッシュタグは、特定のフレーズの前にハッシュ(#)を付けて掲示物に付け札をかける機能で文章を分類しようとする目的のために作られた。ハッシュの後のフレーズはスペースを入れないことが原則だ。2007年にオープンソース運動家のクリス・メッシーナが、SNSにあふれるメッセージをテーマ別に括ることをTwitterに提案して誕生した。当時は多分に技術的便宜のための手段だったが、以降、さまざまな使い道として進化している。

    ハッシュタグが政治ツールとして真価を発揮し始めたのは、2009年のイラン大統領選挙で不正選挙疑惑が浮上した時、「#IranElection」というハッシュタグがTwitterに広がりながらだ。2010年に米国のウォール街デモでも「#OccupyWallStreet」というハッシュタグが市民を集結させる役割を果たした。SNSでハッシュタグをクリックすると、同じハッシュタグをつけた文を検索できるため、マーケティング、広告手段としても脚光を浴びている。

    最近、文化界で起きた性暴行の暴露も、ハッシュタグが引き金となった。詩人朴範信(パク・ボムシン)氏、詩人パク・ジンソン氏のセクハラ疑惑はTwitterに「#文壇_内_性暴力」というハッシュタグと一緒に水面上に浮上した。ハッシュタグをつけて被害の経験を公開する動きは、「有名なウェプトゥーン作家が未成年者対象の性暴行を幇助した」という文を上げながら「#オタク_内_性暴力」というフレーズを書いたのが始まりだった。「#運動圏_内_性暴力」「#美術界_内_性暴力」などに拡大されながら、個人的な被害を構造的な問題で公論化する場が作られている。井げた(井)字型のハッシュタグ1つの威力のわりにはすごい。

    「#ところでチェ・スンシルは?」熱風を起こした「チェ・スンシルゲート」が佳境に入っている。大統領の主要演説文がチェ・スンシル氏に流出されたという疑惑が事実として確認され、政局がブラックホールに陥っている。真相究明を願う気持ちから私も最近登場した新バージョンを付けてみる。「#チェ・スンシル今すぐ出てこい」。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-10-25 22:18:50