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チョ・ジュンホ社長のバック・トゥ・ザ・ベーシック

    「G6は、革新の焦点を基本に合わせた」先月26日、スペイン・バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)でチョ・ジュンホLG電子社長(MC事業本部長)は、新型の戦略フォンG6を公開して「基本」という単語を何度も言及した。サムスン電子とAppleなどのトップ企業に追いつこうと差別化を強調していた以前とは変わった姿だ。彼は「独特の素材と機能だけを考えてみると、本質を逃したようだ」とし、前作のG5の不振を念頭に置いた言葉も忘れなかった。昨年のMWCで、彼はG5の成功を確信した。下部にカメラとオーディオを簡単に脱・付着できるようにしたモジュール型のデザインは、変身ロボットであるトランス・フォーマーを連想させた。果敢な破格でスマートフォンの概念を拡張させたとし、熱狂する専門家もいた。公開直後に注文が殺到し、1000万台の販売も可能だという楽観論が支配し、G5の開発を主導したチョ社長は、革新のアイコンとして浮上した。

    しかし、現実はそうでなかった。発売が1カ月以上遅くれ、関心は徐々に下火になった。収率が期待したほど出ず、供給に困難を経験する中、Galaxy S7などの競合製品が人気を呼び、G5の販売はより萎縮した。その結果、MC事業本部は6四半期連続で赤字に陥り、チョ社長も窮地に追い込まれた。昨年末の人事で留任が難しいという意見も出た。幸いなことに、彼にもう一度チャンスが与えられ、今回スマートフォンの本質と基本に忠実なG6で勝負を投げたのだ。

    経済学とマーケティングを専攻した彼は、LGグループ入社後、経営革新の分野で働き、2000年に携帯電話と縁を結んだ。エンジニア出身ではないが、市場を見る優れた感覚でLGの携帯電話が膠着状態に陥るたびに、新概念の製品で突破する能力を示した。2004年にはさわやかなデザインのチョコレートフォンで、2007年にはシャインフォンで大きな成果を出した。2015年にモバイル事業部を引き受けた後には、V10などの一部のスマートフォンが良い反応を得た。彼は、差別してで成功の動力を探そうとした。「果敢な差別化だけが消費者の選択を受けることができる」昨年にG5を発表する時も、彼はこう叫んだ。

    チョ社長が今年のMWCで「基本」を強調したと言って、革新をおろそかに考えているという意味ではない。しかし、G5の悪夢は彼に差別化と同じくらい重要な徳目を悟らせた。どんな革新も市場が望まないなら仕方ないという事実だ。ただ、消費者と市場に焦点を合わせたというバック・トゥ・ザ・ベーシック(Back to the Basic)戦略が、崖っぷちに追い込まれた彼を救うことができるのか期待される。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-03-04 09:06:41