記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > オピニオン

[筆洞情談] 兄弟扶養

    昨年末、日本では社会現象分析書が大きな注目を集めた。『きょうだいリスク(私は兄弟を知らないふりできるか)』というタイトルである。 65歳以上の人口割合が全体の20%を超える超高齢社会で浮上した懸案を扱った。兄弟間格差とそれによって生じる兄弟扶養に対する不安と解決方法を含んでいる。

    非正規職で働いているために十分な収入を得られなかったり、結婚せず1人で暮らし世話をしてくれる配偶者や子がいない。これを兄弟の中で余裕のある方が助けてあげるケースが日本では急増しているということだ。儒教文化の伝統では、子が老いた父母を奉養したが、今は兄弟奉養にまで発展した。儒教文化のほか、強い家族主義があるために起こる現象で、個人主義に精通している西欧社会では起こりにくい。

    注目すべき点は、日本が超高齢社会に突入した2006年に貧富の差を表す格差社会という言葉が流行し、社会問題として台頭し始めた点だ。 1980年代末まで続いた豊かなバブル経済の崩壊後、1991年から「失われた10年」と呼ばれる長期不況を経験し中間層は崩壊、階層間や個人間の貧富の格差が広がった。ここに超高齢社会への進入まで重なり、扶養対象の高齢者が急増したのだから弱り目に祟り目のようなものだ。

    韓国社会が10~15年の時差を置いて日本のようになるという話をよくする。文化や食べ物だけでなく、いくつかの社会現象で流行が後を追ったり、世の関心を引くことにびっくりするほどそのまま適用される。昨年、私たちの社会は、金の匙・土の匙を問う階層間の格差問題が特に膨らんだ。2026年からは、私たちも超高齢社会に突入するとの見通しだ。10年後ぐらいに兄弟扶養が社会問題として浮上するかもしれない。

    民法第974条では、親族間の扶養義務を規定している。対象は直系血族とその配偶者間だ。その他の親族の中でも生計を1つにしている状態であるときだけ含まれている。解釈すると、直系血族と配偶者は生計を同じくしていなくても扶養義務があるが、兄弟や姉妹のような親族は生計を1つにしている場合にのみ、扶養義務を付与するという話だ。

    兄弟や姉妹を顧みなければ道徳的に非難することはできるが、強制はできない。

    しかし、いくつかの手段を講じても、家族の崩壊は防がなければならない。そうしてこそ、共同体が維持される。結局、社会全体の福祉システムで抱えなければならない。あれこれと納税者負担だけが増えるばかりだ。
  • 毎日経済_ユ・ギョンホ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-03-29 07:16:24