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[筆洞情談] クランチモード

    国民学校(現在は初等学校だが、1970年代には国民学校と呼んだ)時代だった。父親は小さな工場を運営していた。従業員は15人ほどに過ぎなかった。私にとってはみんな兄と姉だった。平和市場にワイシャツを納品するのだが、期限が迫るときは人手が足りなかった。そんな時は私も包装する仕事を手伝った。午前に始まる業務は夜12時を軽く越え、夜明けまで続くことがほとんどだった。作業が終わると体が壊れてしまうようだという愚痴が聞こえた。このような生活が短くて2~3日、長ければ1週間ほど続いた。週末や祝日というのは無かった。開発独裁時代だった当時は、これが当たり前だと考えられていた。

    驚くべきことは、このような労働現場がまだ存在するという事実だ。ゲーム業界の話だ。韓国の代表ゲームメーカーの1つである「ウィーメイドアイオー(wemadeio)」は新作発売を控え、過度な残業と特別勤務を強要して最近非難された。平日はもちろん、週末と祝日にも10時間以上も仕事をさせたのだ。問題はこのような慣行が蔓延しているという点だ。これを指して「クランチモード」という用語まで生まれるほどだ。ゲームメーカーが集まっている地域と関係し、「九老の灯台」 「板橋の灯台」という言葉も出てくる。24時間光が消えない灯台のように働くという意味だろう。沈相奵(シム・サンジョン)正義党大統領候補がテレビ討論で、「九老デジタル団地にイカ船が浮いている」と語ったこともこれを批判した言葉だ。

    「クランチ」の本来の意味は、ピーナッツやくるみのように硬いものが砕けて割れたときの音だ。意味が拡大され、夜勤や特別勤務をしなければならない大事な状況を称する時にも使われるようになった。体が壊れるほどひどく働く状況が「クランチモード」だ。極端な金融切り詰めで、金利をいくら高めても資金を集めることができない信用危機を「クレジットクランチ」という。クランチという言葉は否定的にのみ使われるわけではない。「クランチチョコレート」はサクサクした味で私たちを誘惑し、腹筋の強化には「クランチ姿勢」ほど良い運動はない。

    「クランチモード」は望ましくはないが、簡単に無くなるものでもないだろう。グローバルゲーム市場の無限競争のためだ。

    そうだとすれば方法は一つだけだ。「しんどく」働いた対価と成果を補償すればよい。そうでないと優秀な人材をすべて外国に奪われる。生存のためにも必要なことだ。
  • 毎日経済 チャン・バグォン 論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-05-02 07:25:01