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[筆洞情談] 秘書室長

    キム・ギチュン前大統領秘書室長は、2013年に「王室長」という言葉が登場すると「私は大統領の意を伝える承旨に過ぎない」と手を振って否定した。しかし、彼の最後のニックネームは「ギチュン大院君」だった。王の座についたことはないが最高の権力を行使していた興宣大院君を例えた話だった。

    承旨は朝鮮王室において王命を出納していた承政院の従業員だ。王の喉と舌を担当するからと「喉舌之職」とも呼ばれた。承政院の六承旨のうち、頭にいるのが都承旨だった。今で言えば大統領秘書室長だ。正三品の職級を下したが、王を至近距離で補佐するため、その威勢と権限が政丞をしのいだ。黄喜(ファン・ヒ)、柳成龍(ユ・ソンリョン)、李珥(イ・イ)、蔡濟恭(チェ・ジェゴン)、李恒福(イ・ハンボク)など政丞を務めた人物はすべてこの位置を経て行った。20代に都承旨となったものの没落した人物もいた。正祖が王位についたことの一等功臣であった洪国栄(ホン・ヨングク)だ。彼は29歳で都承旨になったが傍若無人な行動と権力の乱用で最終的に王に目をつけられた。

    大統領秘書室長という職責は大統領制の本山である米国で最初に生れた。ホワイトハウスの秘書室長は重要な役割だが「最悪の職責(the worst job)」と呼ばれる。悪役を多く務めるからだ。ロナルド・レーガン大統領とジョージ・H・W・ブッシュ大統領の時に秘書室長を務めたジェイムズ・ベイカーが「(二回も務めるなんて)私が本当に愚かだった」と話すほどだった。ブッシュ大統領は秘書室長に権限を委任したが、ジョン・スヌヌは公務用の軍用機を使用するなど過度な権力を行使して途中で解雇された。

    秘書室長の役割に関しては、ジェラルド・フォード大統領の秘書室長だったドナルド・ラムズフェルド元国防長官が作成した「ラムズフェルドのルール」によく現れている。その最初には「大統領に悪口を浴びせると考えるほどに遠慮なく話せないときは退け」とある。

    文在寅(ムン・ジェイン)時代の初代秘書室長には386運動圏出身の任鍾晳(イム・ジョンソク)室長が指名された。ムン大統領は自分の欠点として「過度に真剣だ」ということを挙げたが、イム室長は親和性と人脈が強みだというので相性がよく合いそうだ。

    51歳の若い脱権威的な秘書室長への期待も高い。イム室長は「誠心誠意仕えるがイエスマンにはならない」と話した。「ノー」と言って大統領が望むことと成さなければならないことの間でバランスを良く取ることを望む。ただし、最も警戒しなければならないことは自らが権力化することだ。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-05-13 07:26:21