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[筆洞情談] イーサリアム狂風

    「昨年9月に結婚を準備しながらイーサリアム2000万ウォン分を現金化した。どうせ10倍の収益を上げたのだから満足している。ところが最近の相場を見てみると、それよりも正確に15倍になった。当時の2000万ウォンであれば8カ月で3億ウォンになっていたのだ」

    ベンチャー企業の代表B氏がイーサリアムを売ったことを後悔し、Facebookに載せた文だ。最近、ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨の投資でお金を儲けたという話が周辺から続々と聞こえてくる。

    イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインの後を継ぐ仮想通貨世界の新興強者だ。最近の仮想通貨ブームの震源地もイーサリアムだ。ロシア移民出身のカナダ人ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)が2014年に開発したイーサリアムは、ビットコインのようにコンピュータのパスワードを解放して採掘する方式だ。ハッキング事故が起きた後、「イーサリアム・クラシック」という次期バージョンも出た。ビットコインのようにブロックチェーンをベースに作られたが、特定の条件が満たされた時に取引が実行される「スマート契約」が可能なように設計されていることが差別された点だ。実際、昨年の米国大統領選挙のときに当選する候補を選択できるように契約を設定した後、トランプ候補を選んだ参加者に貨幣が分配された事例があった。

    ビットコインより拡張性はあるが、最近の過熱した様相は投資なのか投機なのか混乱する状況だ。今年1月1日、国内の仮想通貨取引所で1イーサリアム(ETH)は1万350ウォンだったが、1日現在は29万ウォンほどだ。5カ月間の上昇率がなんと2700%に達している。先月25日に1イーサリアムあたり38万9500ウォンまで上昇したが、27日には16万ウォン台まで下落するなど乱高下を繰り返した。ビットコインも今年初めに1ビットコインが120万ウォン台だったものが先月には460万ウォン台、1日には300万ウォン台と、価格の揺れ幅が激しい。一日の仮想通貨の取引額が2000億ウォンに達するというのが業界の説明だ。

    問題は乱高下の原因がはっきりしていないということだ。供給量の制限、採掘コストの増加などの理由はあるものの、価格形成情報が不足している。

    世界のイーサリアム取引の40%ほどが仮想通貨が合法化されていない韓国で成されていることも皮肉だ。株式市場の上下限値、サイドカーなどの衝撃緩和装置がないため高い時点で買収して損失を被る人もおびただしい。

    仮想通貨の将来価値を考慮した所信投資であれば望ましい。しかし短期的高収益を狙った投資家であれば17世紀のオランダでチューリップの球根1個の値が1戸の住宅の価格ほどにまで上昇してから暴落した「チューリップバブル」を記憶することを願う。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-06-03 07:37:13