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[筆洞情談] 距離を示す木

    都市でも農村でも、電柱の間隔は通常50メートルほどだ。ウォーキングに出かける人々は電柱を里程標と見立てて距離を計算することもあり、良い目印の役割をする。

    私たちの先祖は、目によく見える木を植えて電柱のように距離を示す目的で使った。自然に優しく、風情もあふれる。ハンノキ(韓国語でオリナム)は五里(韓国語でオリ)ごとに植えられていたことによってつけられた名前だ。実際に「旅人も馬も距離を測る十里半分のハンノキ」という市場通りの話がある。シラカバ科で、赤ちゃん松ぼっくりのような実をつけている。皮を乾燥させて沸かして食べることもあり、ケンポナシと同じくらい二日酔いの解消に良いと言われている。昔は民間療法で粉末を外傷出血に塗ることもあったという。

    このように五里の木はあるが、どこでも認められている「十里」の木というのは無い。ただし、一部の地方では白い花を咲かせるイヌゴシュユを植えて十里木であると考えた。

    そして南道地方で最も普及したのは十五里を示すヒアリだ。ハンノキように十五里、すなわち6キロごとに植えて距離を示す用途のため、シオリ(十五里)木と呼ばれていたが呼びやすいようにヒオリに変わったという説がある。黄色い花が唐棹をぶら下げているような姿だ。花びらは薄く、しわくちゃな黄色い紙を何枚も重ねて折ったろう板のように見える。初めて順天松広寺で発見されたうえ、花びらがろう板のようだといって松広ろう板花という違う名前も持っている。智異山地域でのみ見ることのできた代表種で韓国にだけ生息する希少種として知られていたのだが、数年前に日本にも自生することが報告され、今では特産植物から除外された。

    去る4月初旬、蟾津江で花見をしたときに歩いて渡った山のふもとでヒオリを見た記憶が鮮やかに残っている。

    他の木では花芽が結ばれる前に、ヒオリは華やかにつぼみを咲かせて壮観を成す。枝ごとに今にも耐えられなくなるほどの花束をぶら下げており、距離を示す木としてではなく、豊かさの象徴としてより感じられる。

    智異山のふもとの南地方にのみ存在する木として知られていたのだが、京畿道光教山や江原道白雲山でもヒオリの群落地が発見されたという。ヒオリの自生限界線も北に上がってきたことを見ると、地球温暖化は明らかにあちこちで現れているようだ。
  • 毎日経済 ユン・キョンホ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-06-17 07:38:28