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[筆洞情談] 映画「オクジャ」

    29日に公開されるポン・ジュノ監督の『オクジャ』は変わった映画だ。上映館とインターネットで同時公開されるうえ、米国企業が製作したが韓国人監督がメガホンを握って韓国の少女が主役を演じたからだ。そして内容も異色的だ。多国籍企業が遺伝子操作で「スーパー・ピッグ」を育てて代替食糧にするということを大まかなあらすじとしながら、人間と人工動物との交感、冷厳な資本論理と人間の二重性などの深刻な問題を扱っている。冒険とスリルで興味を与えながらも、人文学的な悩みを込めたという側面で利点が多い映画だ。

    上映開始まで1週間が残ったが、事前予約率がすでに10%を突破したという事実も驚くべきことだ。本日公開されるトランスフォーマーの新作に次いで2位を占めたが、CGVとロッテシネマ、メガボックスなど国内上映館の90%以上を占有しているマルチプレックスでは上映されないにも関わらず、この程度の予約率であるのならば奇跡に近いというのが業界の評価だ。映画を製作したネットフリックスとポン監督はマルチプレックスでも上映されることを期待したが、劇場で先に上映して一定期間が過ぎてからインターネット上で公開するという「ホールドバック」に反することはできないといってマルチプレックス業者が上映を拒否したのだ。そのために大韓劇場を始めとした独立映画館でのみ観ることができるようになった。上映館が少なく、主な時間帯はすでに全席が売り切れたため、『オクジャ』を劇場で観覧するには相当な期間待機しなければならない状況が起こるかも知れない。

    一般観覧客は『オクジャ』がたくさんある映画の中の1つだと考えるだろうが、映画界では新しい変化を起こす起爆剤になるだろうとの見方もある。『オクジャ』が既存の映画制作と流通秩序を破壊しているためだ。『オクジャ』以降、映画のプラットフォーム戦争が起こる可能性があるという話も出ている。

    マルチプレックスを所有しているエンターテインメント企業が占領している映画市場にネットフリックスのようなインターネット動画企業が浸透し、激しい戦いを繰り広げるかも知れないという話だ。

    この戦争でインターネット動画企業が勝利するとなれば、「ホールドバック」や映画館は意味がなくなってしまう。大型スクリーンで映画を観ようとする人には需要があるために劇場自体が消えるということは無いだろうが、映画界でマルチプレックスの影響力が減少するということは明らかだ。ネットフリックスというナマズ一匹がこんなにも大きな変化を起こすことができるとは、革新企業の価値というのがどれほどすごいのかを改めて実感する。
  • 毎日経済 チャン・パグォン 論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-06-22 09:25:46