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[筆洞情談] エアコン全盛時代

    『偉大なギャツビー 』は、1920年代のアメリカ上流社会の虚栄と欲望を描いた小説だ。上流層のイメージとはその時も今も大きな差はない。ビーチが見下ろせる大豪邸、連日続くパーティー、無料と有閑の境界を行き来する時間…。ところが、1つの大きな違いがある。その時代には「エアコン」がなかったことだ。あるむしむしと暑い夏の日、主人公ギャツビー一行はニューヨーク市内へ涼みに行く。「映画を観よう」という誰かの提案に他の1人が「とても暑いじゃないですか」と異議を提起する。避暑として劇場に行く今日とは違う状況だ。一行の選択は、セントラルパークが見えるプラザホテルのスイートルームを借りることだった。ヒロインのデイジーは「浴室を5つ借りて冷水浴をしよう」と提案したりもする。スイートルームに対する描写はこうだ。「部屋は大きかったが息苦しく、すでに4時になったのに開いた窓から公園の低木から熱い風だけが吹いてきた」。エアコンがなかったその時代は、一流ホテルに行っても暑さの1つ解決することができなかったのだ。それに比べると部屋が2つほどの家であってもエアコンの1つくらいはつけて暮らす現代のソウル庶民の夏が、100年前の米国の高級層よりも贅沢な側面と見ることもできる。

    今年の韓国国内のエアコン販売台数が初めてTV販売台数を超える見通しだという。歴代最高だった昨年の220万台を超え、今年は250万~280万台の販売を狙っている。TV販売台数は220万~230万台と予想され、韓国国内でエアコンの販売が開始された1968年以降、史上初の「ゴールデンクロス」が確実視される。エアコンがこのようによく売れるのには、初夏から始まった猛暑と昨年の電気料金累進制緩和が大きな影響を及ぼした。ここに1人世帯の増加、空気清浄と除湿機能まで備えたエアコンの技術進化も一役買っている。注文が殺到すると、エアコンメーカーは物量を適時に間に合わすことができずに悲鳴を上げている。

    筆者は先月4日、注文した新型エアコンを今月10日になってようやく引き渡された。今では待機期間がより増えていることだろう。

    エアコンのおかげで夏場を越すことは容易になったが、真夏の長いワイシャツとネクタイ、中折れ帽子まで装着していた前世代の格式が素敵に感じられることもある。ギャツビー一行がその暑い夏の日に飲んだ飲み物はウイスキー、そしてミントが入ったカクテル 「ミント・ジュレップ」だった。
  • ノ・ウォンミョン 論説委員 | 入力 2017-06-28 07:26:29