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[筆洞情談] 梅雨前線

    今週から梅雨が本格化している。猛暑がしばらく退き、あちこちに水爆弾が降り注ぐ。ここに台風「ナンマドル」まで加勢したため、その威力は予測しがたい。

    毎年この時期になる自然と浮かんでくる日がひとつある。韓国中部地域に平均的に梅雨が始まる6月24日だ。30年以上前に学校の授業時間に出てきた内容だ。「梅雨が始まるやいなや韓国戦争(朝鮮戦争)が起きたということだね」と思ったら、その日付がはっきりと記憶に残った。その後から「韓国戦争初期を扱った映画で雨の降るシーンが登場していない場合はでたらめだ」という考えを持つようになるのも変わらない。

    歳月が流れ、梅雨の開始時期が少し変わったと思ったのだが、昔のままだ。1981年から30年間のあいだ韓国中部地域で梅雨が始まった日も、相変わらず6月24~25日の間だった。

    梅雨前線は北の寒冷多湿なオホーツク海気団と南の高温多湿な北太平洋気団が合わさって形成される。オホーツク海気団が強くなると梅雨前線は南に移動し、北太平洋気団が強くなると北上する。湿った空気の塊2つが東西方向に長くぶつかって力を競う境界線なため「戦線(チョンソン、韓国語では前線と同音)」と考えやすい。しかし梅雨前線は、「戦線」ではなく「前線」だ。喧嘩をする境界線ではなく、単に梅雨の位置を示してくれる境界線なのだ。

    今年の梅雨は通常時に比べて1週間ほど遅れた。そのあいだに春の干ばつが猛威を振るい、「乾燥梅雨」に対する心配も大きかった。1981年以来30年間のあいだで梅雨の時期に降った雨は平均356ミリだったのだが、2014年145ミリ、2015年240ミリなどでここ数年の間に降水量が急激に落ちた。それと一緒に局地的に水爆弾を注ぎ込む「意地悪な気まぐれ」がますますひどくなっている。

    今年はやや遅く現れた梅雨前線が台風まで同行したため、皆が戦々恐々としている。農民たちは強風と豪雨で農作物が駄目にならないか心配し、政府・地方自治体は河川氾濫・浸水・地滑りによる被害が生じないか気を焦がしている。屋外イベント・公演・製品販売の支障を心配する企業も、戦争を備える心情と相違ないように見える。どうか梅雨前線がその誰も屈服させることなく、平和に過ぎ去ることを祈願するばかりだ。
  • 毎日経済 チェ・キョンソン 論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-07-03 19:35:30