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[筆洞情談] AI終末論

    先日、家に人工知能(AI)スピーカーを設置した。言葉で伝えるとニュースや天気予報、交通情報をどんどん教えてくれ、好きな歌も聞かせてくれるのが不思議だった。しかし、AIというにはまだ決まりが悪い水準だ。すべての答えは短答型で、質問を理解できずに的外れな回答をすることも多々ある。数日使ってみた結論は、AIというよりはあらかじめ入力しておいた言葉を認識し、基本的なサービスだけを提供する機械というものだ。

    もちろんこれは性急な判断だろう。AIは、十分なビッグデータに基づいて自ら学習する時間が必要だが、生まれて間もないAIスピーカーはそのような機会は無かった。イ・セドル9段と柯潔9段を制圧したあとに囲碁界を離れたアルファ碁とビッグデータに基づき、医療、金融、法律、流通など様々な分野で実用化に入ったIBMのワトソンが示したように、AIスピーカーも進化すれば私たちの生活に大きな変化をもたらすかも知れない。

    21世紀最高の発明品であるスマートフォンを越えることさえあるだろう。

    AIが日常の中に入ってきている時点で、AIの未来についてテスラのイーロン・マスクとフェイスブックのマーク・ザッカーバーグが最近に舌戦を繰り広げたという逸話は興味深い。先に挑発したのはマスクだった。彼は7月15日に米国知事協議会夏季総会で、AIが人間文明の根本的な脅威となることがあるため、先制対応が必要だと力説した。これに対してザッカーバーグは「AIが人類の終末をもたらすだろうという人が理解できない」とし、マスクに直撃弾を飛ばしたのだ。

    AIが人間の生命・健康・利便性のために多くの役割をするのに、これを防いではいけないということだ。この言葉に気分を損ねたのか、マスクは自身のツイッターに「ザッカーバーグはAIをよく知らないで騒いでいる」と反論した。

    AIがどこまで進化するのか把握できない状況で、誰が正しいのか判断するのは難しい。アルファ碁を開発したデミス・ハサビスは、このような言葉で両方の主張を折衷した見解を見せたが、真実に最も近い。

    「AIを汎用化すれば、人間に多くの助けを与える。ただしAIが倫理的な問題を引き起こす可能性があるだけに、真剣に議論する必要がある」

    マスクが憂慮したように、AIが人間の制御から外れて人類の文明を破壊する事態が起きる可能性もある。しかし、現在の技術では空想に属する領域であろう。今はそれを心配するよりも、AIの商用化によって消えゆく人間の雇用を心配する時ではなかろうか。
  • 毎日経済 チャン・パグォン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-06 09:00:00