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[筆洞情談] 投機過熱地区

    「投機過熱地区」という非日常的な言葉がポータルサイトにあふれている。政府が今日提出する不動産総合対策に、投機過熱地区の指定が盛り込まれるという予測が出され、関心が大きくなったためだ。

    投機過熱地区の指定は、住宅価格の安定化政策の中で超強力な武器としてあげられる。請約・転売・貸出など14種類の規制を投下する、高強度の処方だからだ。2002年9月、ソウル全域や一山(イルサン)、南楊州(ナミャンヂュ)などが初めて投機過熱地区に指定された。それ以降、龍仁東栢や仁川松島などの首都圏が追加指定され、「参与政府」に入って10・29対策の時に地方広域市など全国的に拡大した。解除されたのは金融危機で住宅市場が低迷した2008年11月だ。江南3区を除いた首都圏全域が投機過熱地区から解除され、2011年12月には江南3区も解除されることで9年ぶりにすべてが消えた。

    投機過熱地区に指定されると分譲権の転売が禁止され、請約1順位の資格制限、住宅担保融資割合(LTV)・総負債償還比率(DTI)が40%に縮小されるなどの制約が生じる。特に再建築組合員の地位の譲渡が禁止され、組合設立認可後の再建築アパートは売買や贈与など、財産権の行使が事実上さえぎられる。このようなことから投機過熱地区は、再建築市場では「死神よりも恐ろしい規制」で通じている。しかし物件消滅で、再建築が「限定版商品」になって価格が上がるという悪影響が生じる可能性があるという指摘もある。

    政府は去る6・19対策で投機過熱地区の指定を検討したが、市場の冷却を懸念して、この制度よりも弱い請約調整地域として市場をテストした。しかしソウル全域で物件品薄状態がもたらされるなど、上昇傾向がおさまらなかったため、投機過熱地区のカードに手を伸ばしている。最も重要なことは、投機過熱地区の指定がはたして住宅価格の急騰を寝かしつけることができるかどうかだ。過去の事例を見ると、2002年の投機過熱地区の指定後にソウルの住宅価格は一時的に下落したが、1年後には6%上昇したことが分かり、実効性を上げられなかったという評価を受けている。

    キム・ヒョンミ国土交通部長官は就任演説で、「不動産市場の過熱は供給不足の問題ではなく、多住宅所有者の投機が原因だ」と明らかにした。

    しかし、住宅価格の上昇は世界的な現象だ。いま住宅価格を押し上げるものは、豊富な流動性や低金利、そして供給不足などの複合的な要因だ。人気のある地域に集まる人々の欲望を非難することはできない。需要抑制政策に固執していて、政権を通して不動産に振り回された参与政府の失敗を反面教師としなければならない。
  • 毎日経済 シム・ユニ 論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-06 08:57:27