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[筆洞情談] ロボット税と法人税

    ロボットや人工知能(AI)が4次産業革命の時代を迎え、日常生活の奥深くにまで入って来ている。これらのおかげで新たな雇用も増えるが、これらが既存の雇用を奪って行くという恐怖も大きい。そのような恐怖をもとに、ロボット税の攻防が繰り広げられる。

    ロボット税導入の主張の先鋒に、世界最高の富豪であるビル・ゲイツがいる。彼は「工場で年俸5万ドルを受け取る労働者は所得税を払っている」と強調している。「その仕事をロボットが引き受けることになる場合、ロボットがそれだけ税金を支払う必要があるのではないか」と主張している。ロボット税で税収の不足を補い、職を失った人たちにも再教育や福祉サービスを提供しようという趣旨だ。

    ロボットは投票所に行かない。彼らに税金を押し付けるのは、政治家としては一度くらいは夢を見るに値する甘い誘惑だ。もちろんロボット税を実際に負担することになるロボット使用メーカーや制作会社が反発するだろうが、少なくとも労働者たちに所得税を収めることに比べたら抵抗が少ないであろう。

    ところが欧州議会は、ロボットに「電子人間」という法的地位を付与するロボット市民法には賛成しながらも、「ロボット税」には反対している。今まさに花を咲かせようとしている新しい産業の技術革新と成長を妨げることになるという心配からだ。未来のある瞬間には、ロボットが働いて税金を納付すると、そのお金で人間たちはローマ時代の貴族のような生活をしていることを想像してしまう。そのためにもロボットがより発展して多様になるまで忍耐する過程が必要だ。

    すべての国民は、納税義務を負っている。給料を受け取るときには所得税を出し、スーパーで買い物をするときには付加価値税を出し、ガソリンスタンドで油を入れるときには油類税を払う。ところが、投票所に行かないながらも税金を払っている主体がある。それは法人だ。政治家としては、租税抵抗なしで簡単に税金を収めることができる標的として見なすに値するが、地球を見渡してみると現実は違う。法人税を下げている国家が多いのだ。

    ロボット税のようにすぐに収めるのならばともかく、その税金が企業のイノベーションを阻害し、雇用を萎縮させることがあるためだ。

    政府が最近、税法改正案を公開した。法人税の最高税率を22%から25%に引き上げる内容を盛り込んでいる。目の前の「甘い蜜」を望む焦燥感が、国家経済に長い負担を残さないか心配だ。
  • 毎日経済 チェ・キョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-19 09:00:00