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[筆洞情談] 大統領と映画

    韓国映画で初めて100万観客を突破した映画は、パンソリを素材にした『風の丘を越えて』だ。映画自体の優秀性が最大の理由だが、1993年に金泳三(キム・ヨンサム)元大統領がこの映画を見て「感銘を受けた。これほどの出来ならば世界のどこに出しても大丈夫だ」と話したのが興行に少なからず貢献したであろう。

    盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が劇場を訪れたのは、就任後3年目である2006年に『王の男』を観覧したときだった。盧武鉉前大統領は「話を構成する想像力に優れている」といった鑑賞評を出した。すでに観客が500万人を集めてシンドロームを起こしていたこの映画は、最終的な観客が1230万人を突破し、7番目の1000万観客映画となったのだ。盧武鉉前大統領は、光州民主化運動を扱った『光州5・18』を見て涙を流したこともある。

    映画は個人の好みだが、大統領が見たり、好評な映画は単なる個人の文化体験を超えてしまう。選択自体が一種の政治メッセージとして解釈され、影響力が急激に高くなるのだ。歴代大統領たちはそれぞれ自分の政治哲学を表わすことのできる映画を選択し、劇場に訪れてきた。朴槿恵(パク・クネ)大統領は『バトル・オーシャン 海上決戦(原題:鳴梁)』『国際市場で逢いましょう』 『オペレーション・クロマイト(原題:仁川上陸作戦)』など保守、愛国的な色彩の大きい映画を観覧した。『国際市場で逢いましょう』の観覧後は、「その時は夫婦喧嘩をしていても、愛国歌が鳴り響くと敬礼をしたものだ」といった所感を明らかにし、当時に対する懐かしさも表わした。

    去る13日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1980年に光州民主化運動を扱った映画『タクシー運転手』を観覧して涙を流した。文在寅大統領は「まだ光州の真実が全て究明されておらず、これは私たちに残された課題だ」とし「この映画がその課題を解くために、大きな力を与えるだろう」と話してポリシーの反映意志を示した。文在寅大統領が観覧したあと、共に民主党指導部などの政治家が相次いでこの映画を観ると明らかにし、「大統領観覧効果」がすでに現れている。大統領が映画をよく見ることは、大衆との共感帯の形成、時代精神の共有に役立つという点では望ましい。

    ただし、特定の理念偏向に流れたり、過度な「映画の政治化」には警戒が必要だ。

    オバマ元米国大統領は、昨年に最も好きなSF映画8編を公開した。『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』のような1960~1970年代の作品から最新作『オデッセイ』まで多様だった。4次産業革命が最大の課題であるいま、文在寅大統領もSF映画で国民と疎通をする機会を持つことに期待する。
  • 毎日経済 シム・ユニ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-20 09:00:00