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北韓の量子コンピュータ技術、グーグルやIBMを凌駕

    北韓(北朝鮮)が最高のハッキング武器と呼ばれる量子コンピュータを商用化するために必要な基礎研究を、国家プロジェクトとして進めていることが明らかになった。特に北韓の金日成総合大学の研究者は関連する論文を、最近3年のあいだにネイチャー誌の姉妹誌などの国際学術誌に10編以上掲載するなど、すでに相当な水準の研究成果を国際学会に相次いで公開していることから注目されている。

    18日、学界によると北韓の金日成総合大学のキム・ナムチョル教授(物理学)の研究チームは2月、光の粒子である光子を利用した量子情報処理技術に関する論文を発表し、国際学術誌「フラズモニクス(Plasmonics)」誌に載せたことが分かった。先立って昨年1月6日にも同じ研究者が、ネイチャーの姉妹誌「サイエンティフィックリポート」に類似した論文を掲載した。

    これらの論文はすべて北韓政府の次元で推進する、国の主要研究課題として明示されているという点で共通している。

    今年発表された研究は、中国の国立科学財団(NSFC)や湖南省の国立科学院などと共同で行われた。電気を帯びた電子を利用して、光の粒子である「光子」を操るプラズモン(plasmon)工学を活用し、今よりも速く情報を処理する量子コンピューティング技術だ。

    量子コンピュータは、スーパーコンピュータが数千年かかる問題を数分で解く究極の計算速度で、現行の通信セキュリティシステムを崩すことが予想される「夢のコンピュータ」だ。米国のグーグルやIBMなど、世界中の企業や大学が開発に拍車をかけているが、まだ売り出すほどの性能には至っていない初期の段階だ。

    量子コンピュータは0と1の「ビット(bit)」をベースにした現在のコンピュータとは異なり、複数の情報を同時に処理する「キュービット(Qubit/quantum bit)」という量子単位を使用する。量子の特性を利用して情報を同時多発的に組み合わせていくことから、複雑なパスワードを解くために最適であり、暗号解読(ハッキング)や気候変動・交通状況の予測など、大規模なデータが必要な問題の解決に効果的だ。

    もちろん国内研究陣も、いくつかの基礎研究分野で量子コンピュータの実用化を早めるための広範な努力を行っており、国際学界から公認されている。去る3月には基礎化学研究院(IBS)の量子ナノ科学研究団(Center for Quantum Nanoscience)が、非常に小さい原子ひとつを制御することに成功し、その成果を国際学術誌「ネイチャー(Nature)」に掲載した。ホルミウム(Ho)原子に1ビットを安定的に実装し、向後のキュービット制御の可能性を示したものだ。

    昨年6月には韓国基礎科学支援研究院(KBSI)の国際共同研究チームが、未来の量子コンピュータの素材として注目されている位相絶縁体の表面の電子特性を制御できる方法を開発し、ネイチャーの材料科学専門の学術誌に発表した。

    しかしどの分野が実際に量子コンピュータの開発につながるかはまだ霧の中だ。専門家らは、北韓の研究も数多い分岐のうちのひとつにすぎないことから、まだ商用化は遠い話だと見ている。しかし北韓の研究陣は政府の全面的な支援を受けており、潜在的なセキュリティの脅威要因になることがありうるという主張が提起されている。

    ソウル市立大のアン・ドヨル客員教授は、「北韓が核とミサイルだけで安全保障に脅威を加えているのではなく、量子コンピュータの研究水準も驚くほど向上しており、これを対外的に誇示している」とし、「最終的には商用化を目的に進められるプロジェクトなので、韓国でも国防のため、量子コンピュータや量子情報通信への投資に集中するべきだ」と話した。
  • 每日経済 キム・ユンジン記者 | 入力 2017-08-19 14:46:35