ハングル：금겹살

ハングル発音：クムギョプサル

解説：黄砂のおかげ（？）で、韓国では豚が貴重になりました。みんなで豚を食べるので、価格は当然上がります。黄砂でなくても、豚の値が上がる場合がたまにあります。

昨年は豚肉の価格が低く畜産農家の眉間のしわが深くなり、種雄豚を減らしました。そのため、今年は豚肉の値が上がっているそうです。ここにAI（avian Influenza / 鳥インフルエンザ）が加わり、豚肉価格の上昇を手伝っています。鶏やアヒルが病気になり、鳥インフルエンザで死亡する人が海の向こう、中国で発生しても鶏肉を遠ざけます。初めてのAIがあらわれた時に比べると、鶏肉の需要はそれほど減りませんでしたが、その当時は、本当にすごいものでした。チキンチェーン店では、鶏料理を食べて鳥インフルエンザに感染したら巨額を賠償するという声明を出すほどでした。

工業製品とは異なり、米麦や野菜、果物、水産物、そして牛肉、豚肉など畜産物は価格の騰落が激しい方です。人が勝手に収穫量を増やしたり減らすということが容易ではないからです。昼夜を問わず丹精を込めて農業をしても、台風がさらって行くこともあるし、最高の状態で鶏や豚を育てても、鳥インフルエンザや口蹄疫が発生した場合は殺処分が必要だから本当に過酷です。

畜産物の中では、おそらく豚肉の価格が最も揺れ幅が大きいです。上り下りの幅が冗談では済まされません。韓国では普通の豚肉は牛肉よりもはるかに安く、庶民が好んで食べる肉として知られていますが、ある時は、輸入牛肉よりも高価になります。こういう時クムギョプサル（=금겹살 / 金 ＋ サムギョプサル）という言葉が登場します。

サムギョプサルとは豚のカルビを取り外した部分から腹部までの広く平たい部位の肉。赤身と脂肪が3回重なっているといって付けられた名前ですね。サムギョプサルは豚肉の中でも韓国人が最も好んで食べるため、豚肉の値が上がる場合は豚に金を塗ったほど高いとして呼ぶようになった言葉がクムギョプサルです。

2011年初め、口蹄疫などで豚が大量虐殺され、牛肉よりも高くなりついた名前です。当時200万匹以上のブタが予防のために殺処分されました。ある人は、その以前からも豚肉の値が上がるたびに、このような表現を使ったと主張しているので確実な由来を見極めることは難しいですね。

今年も豚肉の値が揺れ動いています。豚の畜産農家で下痢が流行り供給量が減ったうえに、AIと野外キャンプの流行なので需要が増えて価格が上がったからといいます。財布が軽い会社員は仕事帰りにサムギョプサルに焼酎一杯が難しい状況です。サムギョプサルが再びクムギョプサルへと急変してしまったので。