Q.[韓国の鬼(トケビ)②] 女性の鬼はいないのですか?

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A. (※韓国のトケビ(도깨비)と日本の鬼には様々な違いがあり、トケビをそのまま鬼に置き換えることはできませんが、すでにドラマで「鬼」と訳され親しまれているため、ここではトケビを鬼に訳してご紹介します。)

神は男性でしょうか。それとも女性でしょうか。

考えてみれば、絶対者である神の性のアイデンティティを問うことが少しおかしなことです。両性をすべて持って生まれたトランスジェンダーたちは、この問題をもっと深刻に受け入れるかもしれません。彼らにとって性のアイデンティティは、生活の中で最も重要な問題であるはずですから。

神の性のアイデンティティは、じっくり考えるほど迷宮に陥ってしまいます。考えすらしないことが正しいことでしょう。

それにもかかわらず、人類の歴史を振り返ってみると、暗黙のうちに神の性を男性と考えているようにも見えます。

10年以上前にダン・ブラウン(Dan Brown)の小説を映画化した『ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)』が韓国で上映される頃には、韓国のキリスト教界が阻止しようとする動きもありました。おおっぴらには言いませんが、イエスの嫡統後継者がマリアだという主張が作品全体に流れているためでしょう。

このような点を勘案すれば、韓国の鬼の説話はかなり進歩的な方です。女性の立場も考慮しているんですから。

一般的に鬼が、かっこよくて身体の大きな男性の姿で描かれますが、まれに女性の鬼もいます。

済州島では、女性の鬼の話が伝承されていたりもします。

済州島の女性の鬼の名前はハンラクデクですが、夫よりも背が高く力も強い美人です。しかし、ハンラクデクは夫のプライドを守るために力を隠していました。

そうするうちに義父が鬼と相撲をして負けて寝込み、医者を呼びに行った夫は隣町の人々と言い争いになったせいで、医者は連れてくることもできず、乗っていった馬だけを奪われたまま帰って来ます。

家の中に憂患がたくさん入ってきたのに、鬼の妻がどうして見ているだけでいられるでしょうか。軽く力を使って困難なことをすべて処理したのです。しかし、そのせいで正体がばれたというそんな話です。

女性の鬼の話は都市伝説としても伝えられます。それも50年ほど前という比較的最近のものです。

1960年代にある山奥の村で、自転車に乗っていたおじさんがきれいな女性に会いました。女性がにっこり笑っては「村まで乗せていただけますか」とお願いしたのですが、どうしてきれいな女性のお願いに逆らえますでしょうか。

おじさんは、後に夢にでも出てくるかのようなきれいな女性を乗せて楽しさの余り熱心にペダルを踏みました。村の入口に入って「どこへ行くのか」と聞こうと振り返ったところ、なんと女性はどこかに消え、古いほうきがあったそうです。

おじさんの言葉をありのままには信じ難いですよね。しかし、口伝で伝わる女性の鬼の話は結構多いです。その中でも童話の本で読まれている代表的な説話を1つ紹介しますね。

むかし、年齢が20歳になるまで計算もできない独身の男性がいました。家にだけ閉じこもっていたため、計算もできず、そのように世の中を知らなくてはどうやって生きていくのか、外に出て学んでこいという親の催促に耐えられず、家を出た独身男性は道に迷い、森の中で空き家を見つけました。そこで天生の配偶者に違いない女性の鬼に出会いました。2人は情を交わして1年余りを一緒に暮らしましたが、家に行ってこなくてはならないという言葉に鬼は手を打てば米が出てくる風呂敷をプレゼントしてくれました。

しかし、愚かな独身男性は家に帰る途中で居酒屋の主人につい風呂敷を取られてしまいます。家に帰って米を作って出してあげると、手のひらが痛くなるほど手を叩きましたが、「やめなさい、この馬鹿」とばかり言われて、再び森の鬼の妻のもとに訪れました。

再び家に帰る頃に、鬼はお尻を打てば金貨が出る馬を出してくれましたが、居酒屋の主人は代わりのものをくれるでもなく、腕力で奪いました。ここで負けるような鬼の妻ではありません。

鬼は今度は「殴れ」の一言で情け容赦なく殴り叩きつける棒を夫の手に握らせました。男性はこの棒で居酒屋の主人を懲らしめ、失ったものをすべて取り戻して幸せに暮らしました。

男性の鬼とは異なり女性の鬼は人間の男性の妻や恋人として説話に登場する例が多いです。女性の鬼も男性の鬼と同様に性欲が旺盛ですね。

だから自分を愛してくれた人間の男性への貢ぎ物がものすごい規模になります。金、銀、宝はもちろんのこと、長寿も享受できるようにしてくれます。しかし、自分を裏切ったなら…。昔の言葉に「女が恨みを抱くと5月や6月にも霜が降る」と言いましたが、女性の鬼が起こったらと考えただけでもぞくぞくしますね。

そのため、きれいで、力が強く、愛の行為が好きで、豊かな生活を保障すると言っても鬼を近くに置いておくことはできません。

地方によって差がありますが、男女の鬼同士が一家を成して、むすこ鬼、むすめ鬼を生んで住むという話も伝承されます。家族がいるなら、当然おじいちゃん鬼、おばあちゃん鬼、赤ちゃん鬼、独身鬼、処女鬼もいるでしょう。目が1つのひとつ目鬼、認知症にかかったのか白昼に歩き回る昼鬼もいます。

夜だけ活動してこそ正常なのですが、太陽が中天に昇っているのに歩き回るなんて、そんな鬼は狂ったに違いありません。狂った鬼だなんて、鬼が狂ったらどんなマネをするのか誰も分かりません。

tvNドラマ『寂しくて、輝かしい神 - 鬼』に出てくる将軍鬼は、まさか狂ってはいないことでしょう。

次回では、鬼の能力と立ち居振る舞いについて紹介しましょう。
  • Lim, Chul
  • 入力 2017-01-19 00:00:00

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