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就労ビザ発給要件制限などの非関税障壁で韓中FTAの効果は半減

取得むつかしい中国ビザ…厳しい規制で就職準備生の道ふさぐ 

    • < 韓国と中国の変わらない非関税「万里の長城」 >

    「2011年に中国学部卒業生の一人が中国就職に成功したのを最後に、卒業と同時に企業に就職して中国に進出した卒業生は一人もいません。中国が有望だと考えて学生は中国学部に入学したのに、かんじんの中国就職の道はふさがっているのが現実です」(A大学中国学部教授)。

    昨年12月、韓・中自由貿易協定(FTA)が発効されたが、まだ残っているさまざまな非関税障壁で、FTAの効果は半減しているとの指摘が出ている。地方に所在する外国語大学は、年度ごとに偏差はあるが、毎年卒業生の70~80人が海外現地企業に就職してきた。 2011年以前までは、海外就業者のうち10%は中国学部を卒業して中国現地で就職する学生だった。しかし2011年を最後に、この学校ではただの一人も中国の現地就職の成功事例が出ていない。2011年末、中国政府が外国人就労ビザに関する規定を強化したためだ。

    強化された「在中国外国人就業管理規定」によると、外国人が中国で就業するためには学士以上の学位と、2年以上の経験が必要だ。今まさに大学を卒業した学生は、中国現地で就職できる道がふさがったわけだ。

    A教授は、「中国就職がふさがるやいなや、学生らは台湾やシンガポールのような中国語圏の国に視線を向けているが、市場規模にあまりにも違いがあって、就業過程で困難が大きい」とし、「韓・中FTAが発効すれば、このような問題が解消されることを期待していたまだ変わっていない」と訴えた。

    韓国貿易協会非関税障壁申告センターが受理した非関税障壁48件のうちで、中国の非関税障壁は26件で全体の半分を超える。代表的なものが就労ビザ発給要件の制限だ。 2年以上のキャリアも問題だが、学士号以上の所持者のみに就労ビザを発給することから、韓国企業が中国現地の生産現場管理職として経験豊富な高卒者を派遣したくても、現在は駐在員ビザを得られないのが実情だ。

    各種の認証と安全基準なども、中国の代表的な非関税障壁だ。中国は医療機器の登録時に、自国内の検査機関で発行した試験成績書のみを認めている。米国やヨーロッパなどのほとんどの国が、国際規格に基づく国際公認試験機関の証明書を認めることとは対照的だ。さらに中国の検査機関は、検査申請後から開始までに最大6ヶ月の待機時間がかかるだけでなく、報告書の有効期間も12ヶ月と他の国よりも大幅に短く、医療機器市場への進出に大きな障害となっている。

    昨年10月には中国が、主に携帯電話やノートパソコンに使用される「携帯用リチウム利用電池」に対して強化した安全基準を適用すると発表し、施行時点をわずか3カ月後の今年1月末と発表して国内業界に警報が鳴るようなこともあった。中国で安全認証を受けるためには最長6ヶ月の時間がかかるうえ、中国内の検査所のみを利用する必要があるために技術流出の懸念も大きいからだ。さらに、安全基準も国際標準よりも高く、最悪の場合は中国向けの製品を個別に製作するしかない状況だ。

    産業通商資源部の関係者は、「今月に開かれた韓・中FTAの貿易技術障壁(TBT)委員会で、中国側にリチウムイオン電池の中国での安全基準が国際標準と異なる点について問題提起をしたが、満足のいく回答を得られなかった」と説明した。

    政府も非関税障壁の撤廃のために、積極的に乗り出している。去る17・18日に北京での通常長官会談、品質監督検査検疫会議、産業長官会談などを相次いで開き、中国側に非関税障壁の問題解消を強く要求した。

    周亨煥(チュ・ヒョンファン)産業通商資源部長官は21日の記者懇談会で、サービス投資交渉の年内開催、品質監督と検査検疫関連会議の拡大などの成果を紹介し、「非関税障壁の問題を解決するための制度的な枠組みを、こんかい確実にしたのは大きな成果」だと説明した。

    最近、「サード報復」論難となった電気バスのバッテリー補助金の支給停止と関連し、中国側の一部進展した回答を得たものの、サムゲタンなどの食品分野の非関税障壁も一部解消された。

    しかし、食品はもちろん化粧品や医薬品の認証と鉄鋼業界の長年の宿願である「中国鉄鋼増値税(付加価値税)還付」など、さまざまな非関税障壁の問題が続いている現実で、速度があまりにものろいという不満は少なくない。ある中国輸出企業の関係者は、「規制ひとつを解いたと思うと、いつのまにか2つ増えているのが中国市場」だとし、「非関税障壁を把握し、迅速に解消できるシステムを用意しなければならない」と語った。

    政府関係者は、「リチウムイオン電池や増値税などの他の非関税問題に対し、実務陣レベルでは中国政府を相手に十分に話をしたが、長官会談では大きな問題のみを扱おうというのが中国側の要求だった」とし、「検査・検疫・通関などの分野で韓・中FTA非関税障壁の解消システムを早期に定着させるつもり」だと答えた。
  • 毎日経済_チャン・ヨンソク記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-21 19:50:01