A. | すぐにどんな指にでもはめたくなりませんか?誘惑の塊です。 周りが見えなくなるくらい大好きな状態ではなくても、あんな指輪を差し出してプロポーズされたら「はい」と言いたくなるでしょう。 ところで、結婚指輪はなぜ薬指、それも左手の薬指にはめるのでしょうか? 理由を説明する前に、まずは指輪(パンジ、半指)をなぜパンジというのかを確かめてから次に進みます。 配偶者のいない人は半分の存在という意味でしょうか? そうではなく、韓国では指につける装身具といえば、もともと一対の指輪が基本でした。そのうち1つだけはめると「半分で割った指輪」という意味のパンジになります。 こぶしを握ってみると、左手の薬指にはめる理由が簡単に分かります。 こぶしを握った手を開いて指を一本ずつまっすぐに伸ばしてみてください。順番に親指、人差し指、中指は簡単に伸びます。薬指まで来ると、まっすぐ伸びないですね。小指も伸びやすいのに…。 右利きは左の薬指、左利きは右の薬指が最も弱いことがよく分かります。 1本だけではまっすぐに伸ばすことも難しい左手の薬指は、治癒の神アポロ(Apollo)を象徴します。弱いので喜んで助けてくれるし、創造力も与えられます。 古代エジプトとギリシャでは、左手の薬指は血管を通して心臓に直接つながると信じられていました。愛の静脈、ヴェナアモリス(Venaamoris)と呼ぶほどでした。当時は人間の体の部位で心臓を一番重要視*していた時代だということを肝に銘じてください。 * エジプト人は脳を鼻水を作る器官と考えていました。ミイラを作る時、脳は取り出して腸と一緒に入れますが、ミイラは防腐処理をした後、元に戻すということにも現れています。心臓の重さによって死後の世界が天国か地獄か分かれると信じていました。「数え切れないほど悪行をした人々の心臓は、罪が積もって重くなり、純潔な人の心臓は羽よりも軽い」という信仰心を持っていました。 このような古代の風習がそのまま伝わってきたわけではありません。 17世紀のヨーロッパでは結婚指輪を親指にはめたり、ビクトリア時代のイギリスでは、結婚指輪を指輪型印章とともに小指に重ねたという記録も伝わっています。17世紀の指輪はキューピッドの矢にあたって燃える心臓を片手、または両手で支えている形に作られました。 古代の風習を再現させたのはキリスト教徒です。教会で結婚する新郎新婦に、ついでに宗教に献身させるという欲求が込められているのかもしれません。 神聖な雰囲気で新郎は指輪を新婦の左手の人差し指の先に当てて「聖父の名で」と言い、続いて中指に指輪を当てて「聖子の名で」と言います。その後、薬指に指輪をはめながら「聖霊の名で」と言います。 結婚式を行う間、キリスト教の最も神聖な教理の1つである「聖三位一体」を信奉するようにするのです。いいえ、ただ結婚は神が結んでくれた破ることのできない約束であることを強調しただけでしょう。 キリスト教の慣習が東洋にも伝わって、今では世界中で結婚指輪は左手の薬指にはめるのが当然視されてしまいました。 薬指の指輪は結婚しているかどうかを表しますが、結婚前までは禁欲を意味する固い心の表現でもあります。「結婚までは誰にも許さない」という誓いです。 だから上の写真を見て幸せな新婚夫婦だと断定するのは難しいです。 余談ですが、右手の中指にはめる黒い指輪は、自分が無性愛者であることを表す象徴なんです。だから、中指に指輪をはめて道行く女性を口説く男は、あきれた奴でしょう。 |