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[コラム] 開城工業団地の閉鎖で金正恩が跪くのなら


善竹橋(ソンジュクギョ)という石橋には高麗末の忠臣・鄭夢周(チョン・モンジュ)の血痕が残っている。朝鮮を開国した太祖・李成桂(イ・ソンゲ)の5番目の息子、李芳遠(イ・バンウォン)が送った暗殺者の鉄槌を受けて流した血だ。

善竹橋のある開城(ケソン)に静寂が流れる。南北和合の象徴だった工業団地の機械も止まり、南から来た労働者が去っていった工場には空虚な風が吹く。南北平和の象徴は消えた。

韓国政府は、北朝鮮の核問題を解決するための最後のカードを使ってしまった。米国と日本が開城工業団地の閉鎖を要求し、中国とロシアが「開城工業団地を運営しながら、対北制裁に参加してほしいという要求には問題がある」と反論したため、仕方のない選択だったという説明も続いた。

一部のメディアは、米国側が韓国に「現金が北に多く流れる開城工業団地の代わりに金剛山観光を再開するのはどうか」と提案したとも報道する。

これから開城、いや韓半島(朝鮮半島)はどうなるのだろうか。韓国政府の希望通り、中国とロシアが対北制裁に参加するのだろうか。米上院が強力な対北制裁内容を盛り込んだ法案を満場一致で通過させたから、北朝鮮は国際社会から孤立するしかない状況だ。米国の対北制裁に北朝鮮と貿易する中国企業が含まれる可能性があるため、中国は望まなくても北朝鮮との交易を減らすことになるかもしれない。

開城工業団地の閉鎖後には、必然の手順を踏んで、北朝鮮が跪くのだろうか。北朝鮮が核を放棄すると宣言すれば、韓半島の平和を取り戻すことができるのだろうか。

保守陣営の一部の主張のように、開城工業団地の閉鎖により職を失った北朝鮮住民の不満が高まり騒乱が続いて、北朝鮮政権が崩壊するなら、韓半島は、いや韓国人たちは、平和の時代が来たと万歳を叫ぶことができるのだろうか。

北朝鮮住民の暴動を鎮めるために、戦争を画策する北朝鮮指導部の意志を検出した米軍が先制攻撃をして北の核施設と軍事施設を精密打撃することに成功するなら、北朝鮮の戦争能力を完全に破壊したと祝杯を挙げることができるだろうか。

戦争の恐怖を差し置いたとしても、韓国人の財産と生命に被害が出る可能性も飛び越えて最も望ましいシナリオを描いたとしても、幸せな結末は思い浮かばない。筆者の想像力が乏しいせいだ。

ただし、シナリオを書きながら切ないのは、韓半島の運命が決して韓国人により決定されることはないという事実をひしひしと感じるという点だ。米国と日本、中国、ロシアが直接または間接的に開城工業団地を言及したせいで、工業団地の稼動を停止したという韓国政府の言葉を100%信頼しても、周辺国の長短に合わせて踊る韓国政府の姿が思い浮かんで辛いことこのうえない。

工業団地が閉鎖された今、開城はどんな姿だろうか。韓半島の地形はどうなるのだろうか。ただただ、善竹橋に残った血痕の上に、別の犠牲者の血が上塗りされないことを願うだばかりだ。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2016-02-14 08:00:00




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