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[コラム] 小指の意味


韓国で一時、小指の爪を伸ばすのが流行っていたことがあります。1980~90年代に釜山地域に特に爪を伸ばす生徒が多かったのですが、理由がちょっと面白いものでした。

「小指の爪を伸ばすと試験の成績が上がる」という根拠のない話が広がっていきながら、お金がかかることでもありませんから小指の爪を伸ばしていたのです。

このようなデマだけだったら、流行がたちまち下火になったはずなのですが、ここにいくつかのストーリーが加えられました。幽霊やお化けを追い払う効果があるとか、小指の爪を漢方薬として買い取ってくれるという言葉まで加わり、流行はほぼ10年以上も続きました。

爪はギターの演奏に使われるピックの材料として使われるため、長く伸びれば売るのは問題ないという笑うことすらできない話も加わりました。

80年代には、ソウルでも小指の爪を伸ばす生徒がいましたが、風の噂ではいわゆる「イルジン」として通じる不良暴力グループで組織員の象徴として小指の爪を伸ばしたと言われています。「小指の爪」派といったところでしょうか。

職業によっては、小指の爪を伸ばすと役立つ人もいます。濃い鉛筆で絵を描くとき、​​指や手の横が触れてにじむことを防ぐために、小指を軸にする美術家もいるそうです。

カニ料理が好きな人の中には小指の爪で、上手に食べる才能があるという話を聞いたことがあります。しかしながらカニを食べる道具もあるのに、あえて爪を伸ばすことはないだろうと、このような考えも浮かびます。

年始から、昔に流行った小指の話をする理由は、暇だから小指の爪でも伸ばそうと提案しているのではありません。古代中国では富や幸運の象徴として小指の爪を伸ばしたそうですが、だからといって富や幸運に関する言葉を乱発する徳談(主にお正月に交わす、しあわせや成功を祈る言葉)を交わそうという意図もありません。

ただ小指の意味、指を互いに掛けて固い約束をする意味を思い出したかったからです。

「男の一言」が保証小切手になる時代がすでに昔話になってしまいました。しかもずいぶんと前に。書類に印鑑を押して公証まで受けても「私は知らない」と言う世界になってしまいました。

新年には、約束が守られる社会になったらいいなという考えから、小指の話を取り出しました。特に信頼が消えた韓国社会で、せめて家族、友人、職場の同僚、友人間での些細な約束でも守りたいという願いが切実です。

そして何よりも、自分自身との約束を守らなければならでしょう。守ることが難しい約束ではないのか、果たして自分が約束をきちんと履行することができるのかを確かめてみるのが、簡単に言えば約束をしないことが約束を守る第一歩ではないか、という気もするのです。
  • O2CNI Lim, Chul
  • 入力 2016-01-03 08:00:00




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