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[コラム] 貨幣改革はハプニングで終わるのか


去る17日、韓国では一時、「貨幣改革」がポータルサイトの検索キーワード上位を支配した。

「韓国経済の規模に比べて為替レートの数値が過度に大きいという指摘がある」という国会議員の質疑に韓国銀行総裁が相槌を打ちながら、起きた現象だ。この日、韓国銀行の国政監査で、与党のセヌリ党議員らは「今が貨幣改革の適期」と主張し、韓国銀行総裁は「議論を進めている」と答えた。

国立銀行の総裁の口からこんな言葉が出たため、韓国政府が貨幣改革を推進しているという疑念が野火のように広がった。インターネットが貨幣改革で埋まると、韓国銀行はびっくりして驚いた。急いで「事実ではない」という釈明資料を出して、韓銀総裁は質問した議員に収拾がつくように同じ質問をしてほしいという異様な要求をしたという声も聞かれる。

午後、国政監査で韓銀総裁の言葉が変わった。午前に話した「私見を前提にした望ましい、そうではないという意見表明ではなく、議論を進めている」という言葉が「リデノミネーション(redenomination、貨幣改革)に関する発言は共感帯の形成が必要だということに共感するということ」に変更された。

マスコミはこの日、韓国銀行総裁の発言がハプニングで終わったと報じた。しかし、韓銀総裁の前後の言葉をみれば、決してハプニングで終わるものではない。メディアの報道内容が正しければ言葉を変える前に先立って表明した「内部で議論が進行中」というのが、より真実として聞こえるからだ。

ここで、韓国政府や与党が貨幣改革について、どのように考えているのか非常に知りたくなる。与党議員は、すでに去る14日にも、企画財政部の国政監査の現場で質問を投げたことがある。チェ・ギョンファン経済副首相は議員らの誘導性の質問に「間違って触れると、不確実性を増幅させる可能性がある」として「今は副作用も総合的に検討して、慎重に接近しなければならない」との回答を出した。

貨幣改革の必要性は、すでに長い間議論されてきた。金大中(キム・デジュン)政府と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が執権していたときにも貨幣改革の可能性が議論された。

2002年には、貨幣改革の議論がかなり進展したりもしていた。17人で構成された韓国銀行貨幣改革推進チームは、ドルとウォンの割合を1対1で合わせる案を検討して、1000ウォンを1ウォンにして50ウォンと100ウォンの高額紙幣も新たに発行するという方針の下、デザインまで用意した。しかし、インフレなどの副作用を懸念した政府の反対により貨幣改革は失敗に終わり、代わりに5万ウォンを新たに発行することで締めくくられた。

貨幣改革は、単に数字を変える行為ではない。全国に設置されたATM機器もすべて直す必要があるし、企業は帳簿を変える必要が出てくるため、大騒動となるだろう。果物の箱に入れられた黒いお金(韓国では昔から賄賂を果物の箱に入れていた)を処分しなくてはいけないから、組織暴力団も忙しくなるだろう。消費者が通貨に鈍感になり、インフレへの懸念が実際に現れる可能性もある。

もちろん、このような副作用だけがあるわけではない。貨幣単位の変更により、韓国ウォンの国際的地位が昇格する点は置いておいても、金庫に眠っているお金が実物経済に投入されて、経済回復はもちろん、地下経済を陽性化させる可能性もある。

問題は、貨幣改革の議論がある場合、全国民が知ることができるよう進められなければならないということだ。国政監査の場でアドバルーンを上げてみて、世論が悪い方に流れたからと後から収集するような方式で議論するのであれば、貨幣改革への共感帯はおろか、政府への不信だけが加重するのは明らかだ。貨幣改革は絶対にハプニングで起こすような事案ではないということだ。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-09-20 08:00:00




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